乙女ゲームおたくの日記

主に乙女ゲームの感想を書きます。

ときメモGS4 一周目ざっくり感想(ネタバレなし)

本日発売の『ときめきメモリアルGirl’s Side 4th Heart』。約十年ぶり、ファン待望の最新作!!
もちろん予約していたので、B4サイズで厚み五センチくらいの思ってたよりデカめの箱が届きましたよ。待ちきれずにDL版も買って夜中からやり始めてた訳ですが。
そして今日さっそく一周目を終えました!
発売前からずっと気になってた本多くんを一直線に追いかける、いわゆる一途プレイです。

他のキャラのイベントはほとんど見られてないし、本作の特徴である四人での関係も全く体験できてないのでまだ感想を書くべき段階ではないかもしれませんが、今買うか迷ってて感想を探している人に向けてぜひ伝えたいことがあります。

ときメモGS4、楽しいですよ!

主に操作面で不満もあるのですが、GSシリーズのファンならきっと買って損はないと思います。
デートの選択肢が適度に難しくて、本多くんならこれで喜ぶかな? いや逆にこっちかな? と悩んで選んで上手くいったりいかなかったり、おそるおそるスキンシップしてはたまに青いハートが出て凹んだり、普通→友好→好きと移り変わってく反応にテンションが上がったり、感情が振り回されて忙しいあの感じ、まさに『ときメモ』が帰ってきた! という感覚。
ほとんどの要素はGS3までのシリーズ前作を踏襲しているので、良いところも悪いところもほとんどは前作までと同じです。
個人的に大接近モードがやってて恥ずかしくて苦手なのですが(でも台詞を聞きたいからやらざるを得ない)そこも前作と変わっていません。

・好きな新要素

今作で新たに追加された要素の一つとして「ホタルの住処」というスポットがあります。
デート後の寄り道でここに立ち寄ることで専用の会話が聞けます。この会話では男の子の様々な面が見られて楽しい上に結構バリエーションがあって、十数回分は見たけど全然見尽くせていません。(同時発売の公式攻略本をチラと見てみると、一キャラごとに三十パターンはあるっぽいです)
複数の条件を満たさないと立ち寄れないので、全部見るには計画的に進める必要がありそうです。そういうの苦手なんだよな~。頑張らなきゃ。

・主人公はクセ少なめ

GS主人公は基本的に無個性ということになっていますが、台詞がある以上、完全な無個性とはいきませんよね。実際に3の主人公は「不良兄弟に呆れながら見守るお姉ちゃん」ぽさが強かったりして、自分の名前をつけたキャラが自分じゃ絶対しない言動をすることに違和感を抱いた記憶があります。(PSP版では天使と小悪魔という要素も追加され、プレイヤーと主人公の剥離がますます進んでいました)
今のところ、3のデイジーと比較して4の主人公マリィはこういった違和感を覚えることがあまりなく、クセが少ないと感じます。「ふふ」というお上品な笑い方が少し気になるくらいです。でも笑い声を文字オンリーで自然に表現するのって難しいですよね。なので仕方ないと思ってます。

・不満点

本多くんが好みすぎたおかげもあり、一周目を終えた時点で既に買ってよかったと思えているのですが、それでも不満に思う点はいくつか。

・操作性がよくない
 DSでGSシリーズに親しんでいたファンが多いことを意識してか、携帯モードでのタッチ操作を前提としたDSに近いUIデザインになっています。そのせいで、コントローラーだと直感的な操作がしづらく感じます。まずは大画面でやってみたかったのでテレビモードでプレイし、後から携帯モードに変えて手で操作してみたら圧倒的にやりやすかったです。
ただ、指だとスキンシップでのタッチ位置にズレが生じそうなのでタッチペンを買った方がいいかと思います。タッチペンさえあれば、DSとほとんど変わらない感覚で遊べそうです。
他にも、ボタンを押しっぱなしにしないとスキップができないとか(しかもLとRの同時押し!)バックログがないとか、前作での不便さまで踏襲しています。これも含めてGSらしさということでわざと残しているのかもしれませんが、何周もする前提のゲームなんだから「らしさ」とかよりも操作しやすさを優先してほしいところです。

・友達キャラが双子
 ひかるもみちるもかわいくていい子なのですが(いい子すぎるくらい)、前作キャラの親族な上に双子なので、人間関係が閉じてる感じがして残念でした。
1や2みたいに友達キャラにもいろんな子がいると楽しいんですけどね。乙女ゲームで同性キャラにあまり容量を割けないのは仕方がないのでしょう。むしろ1,2が特殊すぎたのか。
友達キャラとしての役割はほとんど前作のカレンさん、みよちゃんと同じです。主人公の恋を冷やかしつつ徹底的にサポートしてくれます。

・大接近モードが恥ずかしい
 これはいくらやっても慣れませんね。シリーズファンでもそういう方一定数いるのではないかと思います。一途プレイだからまだいいものの、股がけプレイでこんなことやってたら悪魔ですよね。やらないという選択肢ももちろんあるのですが、専用の台詞があるとなるとスルーはできないゲーマー心。(『Undertale』でGルートやった人の言い訳みたいですね)

 

とりあえずの感想はこんなところです。
本多くんのここがいい! とかも語りたいのはやまやまですが、まだ発売直後なのでそこは一旦自重します。いい子だった、かわいかったとだけ言っておきます。
とにかく言いたいのは、十年ぶりの新作が嬉しいけど落胆するのが怖くて手を出せないシリーズファンの方、買って損はないと思いますよ!! ということです。

君は雪間に希う 久賀源十郎ルート感想 ○○○○○○注意報が欲しい!

オトメイトの新作である君雪こと『君は雪間に希う』の一周目、久賀源十郎(cv.佐藤拓也)ルートを終えました!
公式からネタバレ自粛のお願いも出ている作品ですが、クリックしないと読めないブログというだけでワンクッションにはなっているし、あまりに詳細なネタバレは避けつつ感想を書くくらいならきっと問題ないだろうと思います。(記事の後半で、ある仕掛けについてネタバレしています)

 

某お笑い芸人がプロデュースに携わったという本作、プロモーションでもその点が押し出されていますが、ゲーム本編には彼を連想させる要素は今のところ皆無です。もしその辺を不安に思う方がいらっしゃったら、心配する必要はないと思います。

まず一周した時点での感想ですが、かなり萌えました!!源十郎ルートだけでも個人的には元が取れたと思うレベルです。
本筋となる宵過退治のお話はすごく面白いというわけではないものの矛盾のない話運びだし、事件を追うことと攻略対象の問題を解決することがイコールになっているから自然とのめり込めます。
そして何より萌えました!乙女ゲームにおいて重要なことは萌えたか萌えなかったか、言ってしまえばそれだけなので、一周しただけでも私は君雪を良作と判断していいと思いました。

今作の攻略対象陣は全員「奇虚」と呼ばれる存在で、平たく言えば、戦闘のために作られた心を持たない人造人間といったところ。
表面上は感情的だったり友好的だったりに見えても、実は任務のためにそう振る舞った方が良いと考えてそうしているだけ。そんな彼らとの心の交流、そして恋愛が君雪のテーマとなるわけですね。
主人公の「他人の感情を視ることができる」という能力も物語でいい働きをしていて、典型的なお役目人間だった(お役目奇虚だった)源十郎が感情を得ていく過程が丁寧に描かれています。

奇虚たちの中でも人間関係には不器用で、一番「人造人間」っぽさがあった源十郎。
主人公とのやりとりでも、ちょいちょいズレっぷりを披露してくれます。本人は常に真剣だから余計に面白いというタイプ。
どのくらいズレているかというと「悩んでいるときは動物と触れあって気を紛らわせるのが良い(要約)」という主人公の助言を受けての台詞が


「そうか。では差し支えなければ、
 今夜はお前を抱いて良いか」(原文ママ)


主人公と一緒に「ええ!?(赤面)」となってしまった場面。初めてうっかり押した意外でスクショボタンを使いました。まだ恋愛関係になっている訳でもなんでもないのに真顔でこの提案。このあと本当に抱き合います。
こんな感じで前半は、まだ自分に人間らしい感情があると自覚していない朴念仁の極み源十郎と、彼にそんな気があるわけないと思いながらドキドキしてしまう主人公という構図です。
実際にはこの時点で芽生えかけてはおり、台詞からかすかな戸惑いなんかを感じられてキュンときますよ。向こうから抱いて良いかと言い出したくせに抱き方がぎこちないのも萌えます。
この場面に限らず、感情が生まれたての赤子状態だからこそのピュアな恋愛模様が魅力的に描かれていました。普通の人間だったらよほど幼い設定にしないと成立しないような無垢っぷりで、それを違和感なく成立させる設定が上手いと思います。
狭い駕籠に二人詰め込まれる展開もすごく良かったです。オチまで含めて、全乙女ゲームの全キャラで同じシチュエーションを見たいくらい。
源十郎があまりに清廉なので、いわゆる糖度はそれほど高くない印象でしたが(キスはあります)個人的にはそれで十分と感じました。

次に、主人公の紗乃(すずのと読むんですね。プレイするまでずっとさのだと思ってました)について。主人公がどんな子かはやはり気になる方も多いかと思いますが、とてもいい子でした。
明るいけど出しゃばりすぎず、極端に足手まといになることもなく、恋愛面でも初心ながら適度に積極性があり、非常にバランスのいい造形です。
攻略対象を差し置いて人気が出るタイプではないけれど好感が持てる、物語を楽しむ邪魔をしないことに特化したタイプの良主人公だと思いました。

 

また、ハッピーエンドを見るためには敢えて好感度の下がる選択肢を選ばなければならないのはなかなか面白かったです。
そのせいで見たくもないバッドエンドを見てしまい心に相当なダメージを負いましたが!
乙女ゲームのバッドエンドは「主人公への愛が行きすぎて監禁」までが私に受け入れられる限度ですね・・・。
私がプレイした中ではバスタフェのバッドエンドに近い、マジで陰惨なやつでした。これで萌えられる人はなかなか心が強いと思います。
ハッピーエンドに向かう気満々で進めていてあれ?これバッドエンド??ってなったときの動悸といったら。
時アポはバッドエンドに向かう選択肢を選ぶと親切に演出で教えてくれるので、避けやすくて嬉しかったですね・・・。バッドエンドは心がよっぽど元気なときしか見たくないので。
でも、乙女ゲーマーというものはできるだけ好感度を上げよう、下げないようにしようと考えてしまうものなので、それを逆手に取った仕掛けは面白くて好きです。
つまり・・・この点においてはプラマイゼロってことで。

 

今回、堅物キャラが好きというだけの理由で源十郎ルートに入りましたが、彼のルートは「心を持たない存在との恋」というテーマもわかりやすく表現されていたし、恐らく物語の核心からは遠いので、一周目としては最適だったかもしれません。(心にダメージは負いましたが!)

とりあえず、これで源十郎ルートの感想は以上です。
源十郎ルートを終えて、共に行動することが多かった与市のキャラにもかなり好感が持てました。
常に怠そうにしているけどなんだかんだ優しい子で、仲間に対する洞察力の鋭さも魅力です。遙か7の大和が好きな方なら好きだと思います。
攻略制限がなければ次に攻略したいですね。
制限がかかっているキャラが二人いるらしく、見た感じ智成はいかにも制限されてそうですが、もう一人は全く予想がつきません。

caligula2 中間感想 オタクは高校生に期待しすぎてる

6/24にフリューより発売されました『caligula2』。
前作は未プレイですが、ファミ通の記事を読んでからずっと気になっておりました。
魅力的なキャラデザと、学園ジュブナイルRPGというジャンルに惹かれたからです。
私は高校時代ペルソナ3にドハマりし、毎日毎日飽きもせず遊んでいた思い出がありまして、あのときの感覚をもう一度味わえるかも…と思ったのです。
フリューといえばイケメンシリーズくらいしか知らなかったので、面白いかどうかは賭けかなと思いながら買ったのですが…勝ちました!
めちゃくちゃ楽しいです、このゲーム。時間を忘れて遊んでしまっています。

まだ五章の途中で、仲間は全員そろったもののシナリオ的にはまだまだこれからというところでしょうか。
早いうちに一旦感想をまとめておこうと思います。
まずは良いと思った点を。

良い点

・タイミング調整バトルが楽しい
予測映像を見ながら、技を繰り出すタイミングを調節する独特の戦闘システムになっています。
攻撃範囲が広い技は敵が密集するタイミングを狙って放ったり、敵が出してくるであろう攻撃に対応したカウンター技をぶつけたり、仲間とのコンボが成立するように順序を意識したり。
アクションゲームだったらキャラを動かしながらリアルタイムで考えなければならないことを、今作では時間をかけてじっくり考えられるんですね。
アクションゲームが苦手な人でもアクションゲーム的な楽しさを味わえて面白いシステムだなと思います。
難易度はノーマルでプレイしていますが、ある程度考えて動かないと結構すぐピンチになります。
敵とのレベル差が開けば、何も考えずAボタン長押し(長押しで連打と同じ効果になって便利です)しててオッケーなんですけどね。
へっぽこゲーマーでも、苦にならない程度に頑張れば先に進めるほどよい難しさです。
今のところ最も苦戦したのは三章のコスモ野郎。自分なりに工夫を凝らした末に倒せてとても気持ちがよかったです。

・キャラがかわいい
私は乙女ゲーマーなので、やはり主に男性キャラに期待して買いました(予約もタペストリーの絵柄が小鳩・劉都・男主人公のアニメイトでしました)が、男子も女子も仲間になるキャラ全員が魅力的です。
小鳩先輩がなかなかの問題児で好き嫌い別れそうですが(私は好き)、他のメンバーはいい子揃いです。
五章時点でまだ謎が多く残っているキャラもいるため、今後印象が変わるかもしれませんが。

ただ、今作は「人生のやり直しを望んだ人々が架空の世界で理想の体や環境を手に入れて暮らしている」という設定のお話です。
つまり、仲間たちは高校生に見えても現実世界では違うかもしれないということ。
実際、言動からして男性陣は劉都くん以外は成人しているであろうことが伺えます。
女性陣は一人だけ実年齢ハッキリ教えてくれたけど後はまだわかりません。
上記の設定をまだよく理解してない時点で「一番高い買い物は?」と聞いたら二名に車と答えられてビビりました。
この設定、学園ジュブナイルというジャンル名だけを見て、戦う少年少女に萌えるつもりでプレイした人は少し戸惑うかもしれません。(私はそうでした)
でも、これはこれで面白い!と思いました。
オタク向け作品って「高校生」に期待しすぎなんですよね。自分もまさにそういう作品を好んで消費するオタクなのでなんだか恥ずかしいですが、特定の年齢のただの子どもを大人がよってたかってキラキラした存在として崇めすぎてる。なんでもかんでも高校生に担わせてる。そんな風潮に疑問を抱かないでもなかったので、今作の設定はなかなか面白いものに映りました。
理想を詰め込んだ「高校生」として差し出されたキャラかと思いきや、中身は高校生に夢を見る大人で、そこはプレイヤーたちと同じ…というのが。私が類似する作品を見たことがないので、画期的に感じました。
姿は嘘でも、彼らがお互いに見せる優しさや愛らしさに嘘はないわけで、リドゥでの彼らの青春もまた真実なんですよね。

青春に規定はない
青春に限度もない
Password is 0 (モーニング娘。'14)

(突然の歌詞引用)
まさにこれなんですよね。

あと、公式サイトで見られる画面で「○○の心の奥に踏み込みますか?」というのがあるじゃないですか。実際にあの演出を見たときは唐突なホラー風味に恐ろしくなって一体どんな重い秘密が…と身構えてしまったのですが、今のところ、ささらさんと鐘太くんの見せてくれた「心の奥」は脅かすほどでもないじゃんと思いました。いや鐘太くんのは本人がトラウマになるのはわかりますが、予想の範囲内でした。ささらさんのはある意味範囲外でした。

今のところ一番好きなキャラは劉都くん。こましゃくれた可愛い男の子です。
…唯一のガチ少年(推定)だから好きみたいで我ながらキモいな。
文化祭でお化け屋敷に連れてったときの台詞群が特によかったです。主人公が怖がる選択肢を選ぶと呆れながらも自分の後についてこいと言ってくれるし、豊富な知識をいちいち披露しちゃうのが可愛いし、なんだかんだ言って楽しそうだし、部長と話せてよかったと最後に言ってくれるし可愛いの塊でした。
おばけ屋敷は誰と行っても面白いので直前セーブ必須。吟や鐘太くんの怖がりようも可愛いし小鳩先輩はギラギラしすぎて怖面白いです。
(女たらしキャラって主人公の性別によって差分を用意するのが大変そうですよね。ゲームによっては女主人公でも男扱いされているように感じますがこのゲームではそんなことはなく、不自然でない差分が用意されています。小鳩先輩もちゃんと(?)ナンパしてくれます)

・音楽とゲームのコラボが面白い
ラスボスっぽい少女型歌唱ドールに楽曲を提供する「楽士」が八人おり、各章のボスとなっています。
それぞれの楽士が作ったという設定の曲を、実際に異なる作曲家が作っているというのが面白いです。
私は音楽に詳しくないので知らない方ばかりでしたが、各ダンジョンの雰囲気に合うキャッチーな楽曲が揃っています。今のところココアちゃんの曲が一番好きです。
歌詞を見てみると、各楽士の悩みや恐れがくっきり表れているのも面白くていいですね。
歌詞からして恋人にこっぴどく裏切られでもしたのかと思ったパンドラさんが、ただの推しアイドルがやらかしたオタクだったのは笑った。
ココアちゃんも今のところ明らかにはなっていませんが、おそらく現実では三十がらみの婚活女子といったところでしょう。
このゲーム、いい意味で俗っぽいというか、悩みや苦しみが地に足ついた表現でなされてるのがいいなと思います。

次に良くないと思った点を。

良くない点

・クエストがだるい
名前つきのモブキャラが大量にいまして、それぞれクエストを依頼してきます。
このモブキャラたち、グラフィックや台詞は使い回しで見分けられない上に、一部を除いてマップ上を自由に動き回ります。
結果、私にこれを依頼した○○さんはいったいどこにいるんだ!?となることがしょっちゅう。
お使いを頼まれても、「会えたら渡すわ」って感じになります。ある意味リアル?
メニュー画面から誰のどのクエストを受注中か確認できますが、なにぶん人数が多すぎて画面の中から探し出すのに一苦労です。
エストの内容がすごく面白いわけでもないので、ちょっとだるいなと感じてますね。

・曲に飽きる
ダンジョン内では楽士の曲がエンドレス再生されます。
ボーカル曲として作られているものってBGMにするにはカロリーが高いので、攻略に時間がかかるとどうしてもだんだんうんざりしてきます。
全体的にボカロっぽいくどさがあるのでなおさら。
逆に言うとかなり耳に残るので、時間が経つとまた聞きたくなっていたりします。


とりあえずの感想は以上です!
現代ものRPGが好きな人なら間違いなく買いだと思います。

Paradigm Paradox 共通&栖原カムイ&高遠トキオルート感想

5月27日にオトメイトから発売された『Paradigm Paradox』(パラダイムパラドックス、通称パラツー)の、栖原カムイと高遠トキオの攻略が完了したので感想を書いていこうと思います。

今のところの感想を一言でまとめてしまうと「悪くないけど薄い」。恋愛過程は要所が押さえられていて悪くないのですが、他のいろんなもの(世界観の裏付け、キャラ立てなど、物語の説得力を高めるために必要ないろんなもの)が足りていません。この物足りなさ、ダイロクにちょっと似ています。ただ、個人的にダイロクの方はあまり楽しめず感想を書く気にもなれなかったのに対して、パラツーはそこそこ楽しめていますね。

あらすじ
舞台は近未来の世界。主人公たちは外界と隔絶されたコロニーで暮らしています。コロニーは度々「害獣」と呼ばれる外敵に襲撃されますが、身を挺して戦うヒーローたちのおかげで主人公を含む一般市民たちはいたって平和な日常を送れていました。
主人公はある日、害獣に襲われかけますが、珍妙な格好をした四人組の女の子に助けられます。超能力を駆使して戦う彼女たちが、噂に聞いていたヒーローだったのです。
救出された主人公は、潜在的な超能力の資質を見いだされて、彼女たちの仲間に加わるよう命じられます。もちろん最初は戸惑うものの、自分と同じくらいの年齢の女の子たちが人々のために戦う姿に憧れを抱いたこと、平凡な日常に飽いていたことを理由に彼女たちの仲間になることを受け入れます。

以上が序盤の内容ですが、これだけ見るとバトルもの美少女アニメですよね。かわいい女の子の立ち絵がずらっと並ぶ画面を見て「これは本当に乙女ゲームなのか・・・?」と何度か思ってしまいました。その立ち絵が本当にかわいくて、普通に男性向けアニメとして通用しそうなビジュアルだから余計に。特にモカちゃんがかわいすぎます。

彼女たちの正体は主人公と同じ学校に通う少年なのですが、共通ルートの時点ではほぼずっと少女姿です。少年姿で出てくる場面も三回ほどありますが、どれもAボタンを十回押したら終わってしまうくらいの短さ。(体感ですが)
その結果、共通ルートを終えた時点で攻略対象たちの魅力がほぼ未知数状態です。(少女姿ではずっと出てますが、シナリオ上ではまだ点と点が繋がってないので)

 

さて、二人の攻略を終えた時点で、良いと思った点と良くないと思った点を挙げていきます。

良いと思った点
・綺麗なイラスト
夏生氏によるイラストがとても綺麗。乙女ゲームの仕事をされるのは初でしょうか?私は初めて拝見したのですが、立ち絵からスチルの一つ一つのクオリティが高いです。「綺麗だけど、どのスチルでも同じ顔してる・・・」なんてこともなく、表情も豊か。彩色はアニメ塗りに近く、ごまかしが効かない塗り方なのに破綻を感じさせません。

・快適なシステム
全体的に動作が速くストレスフリー。分岐回収も「次の選択肢までスキップ」を使えば一瞬です。
最近プレイしたキュピパラやビルシャナがかなりもったりしていたので、オトメイトやればできるじゃないか!と。その代わり演出面はかなり簡素ですが、乙女ゲームで演出を重点的に評価する人はあまりいないでしょうし、何周もする前提なんだから快適さを追求してほしいですね。
シナリオチャートも使いやすいです。時アポはチャート形式なのに現在地がわからないという痒いところに手が届かない仕様でしたが、パラツーの方はかなり理想的な使いやすさでした。

・無個性寄りの主人公
主人公の小鳥遊ユウキは超能力の素養を持つ以外は平凡な女の子です(少なくとも今のところは)。比較的個性の薄めな主人公で、プレイヤーの心理とシンクロしやすいと思います。
相手に歩み寄るほどよい積極性や、言いたいことをきっぱり言える度胸もあり、物語を楽しむ足枷にならない良主人公です。ビジュアルもかわいいし。

・新鮮味のあるキャスト
パラツーは声優ユニット「8P」とのコラボ企画ということで、攻略対象陣の声優をユニット全員で担っています。
キュピパラに出ていた榎木淳弥さんと、最近聴いたシチュエーションCDが素晴らしかった八代拓さんはわかりますが、あとのメンバーは馴染みのない方ばかりでした。それは普段乙女ゲームにあまり出ない面子が揃っているということで、なかなか新鮮味がありました。
女性声優陣のボイスも可愛くて良かったです。知らない方も多かったですが、折笠富美子さん、伊藤静さん、上田麗奈さんは私でも知っていたので謎に豪華だな・・・と思いました。
乙女ゲームの女性キャラに有名声優を起用するメリットはあまり無いと思うのですが、それでも知ってる方がいるとテンション上がりますね。オラソワの沢城みゆきさんとか、百花百狼の早見沙織さんとか。

・恋愛描写の手堅さ
丁寧とまで言うと言い過ぎになりますが、お互いに惹かれ合う過程は要所が押さえられており納得のいくものでした。
どちらのルートも両思いになってすぐ終わってしまったのもあり恋愛模様は至ってプラトニックで、いわゆる糖度はかなり低いです。ジャックジャンヌの白田先輩ルートよりもずっと低い。
個人的にはこれはこれで。

モカちゃんがかわいい
立ち絵が現れるたびに見とれてしまいました。髪型も顔も衣装も一番かわいい。

良くないと思った点
・描写不足
まず、攻略対象の人間性に迫るエピソードが圧倒的に足りてないと感じました。各エピソードの内容に特に不満はないのですが量が足りない。
親友をやむを得ず手にかけてしまった主人公を、選択したキャラがそれぞれのやり方で慰めてくれる場面は良かったのでそういうのがもっともっと欲しかったです。
キャラ立てをそこそこに仲を深める過程を描き始めてしまう感じ、なんとなく二次創作を読んでるような気分になります。二次創作は原作でしっかりキャラが立っているからそれでもいいんですけどね。
たぶんスタッフの中ではちゃんとキャラが練られていて魅力も確立しているのに、肝心のアウトプットが十分でないのでしょう。

・性転換要素が活きていない
パラツー、男性声優にしか期待してないユーザーが多いであろう乙女ゲームでたくさんの女性声優を使ってまで性転換要素を取り入れた怪作ですが、その要素が活かされているとは思えませんでした。
性的な要素がほぼないところは今作の良さでもあると思いますが、どうせ性転換やるならもう少し性に踏み込んでもいいのでは。
一緒にお風呂に入ることになって・・・みたいな展開もないし(硬派なジャックジャンヌでもそういうのはあったのに)、
少女姿で親友レベルに仲を深めてから実は男だった!ならドラマティックな展開にできそうですが、少女姿の彼らとは信頼はあるもののあまり踏み込まない関係なので正体がバレてもそれほど衝撃的にはなりません。割とあっさり受容します。
でもそれなら、女児向けアニメでよくある(?)衣装と髪型しか変わってないのになぜか別人扱いされる都合のいい「変身」概念でもよかったし、なぜか十年後の大人の姿になるとかでもよかった。同じ声優の二通りの演技が楽しめますし。それだと主人公が加入する動機が薄くなってしまうか。
ただ、最初は別人にしか見えなかった二つの姿が、言動に共通点を見つけたり、だんだん少女姿でも素を見せてくれるようになったりすることで一致していくのは結構面白かったです。
男性声優と女性声優の、全く違う声帯から出る声が確かに同一人物によるものだ!と思えてくる感覚は、確かにこのゲームでしかできない体験でした。
売上に繋がるような魅力ではないのは否めないと思いますが・・・乙女ゲームが売れなくなってきても謎の挑戦をやめない、オトメイトの冒険心に感服すればいいのでしょうか。

・バッドエンドがおざなりすぎる
戦闘中に選択肢を誤ると敵に殺されて即バッドエンドを迎えますが、いくらなんでもあっさりしすぎています。バッドエンドが大の苦手な私でも無心で見られるレベルです。
気を抜けば命を落としてしまう緊迫感を表現するためという意図があるのでしょうが、乙女ゲームにおいて「萌えないバッド」を入れることは有罪、ギルティです。
即バッドといえばピオフィの楊を思い出しますが、彼の機嫌を損ねたら即バッドという仕様は彼の奔放で危険な男というキャラ性を表現するのに役立っているし、そんなヤバ男が正しいルートをたどれば主人公に執着してくれるという「萌え」に繋がっています。
パラツーのバッドエンドはそういうものにはなってないので、入れない方が良いタイプのバッドエンドだったと思います。

 

次はキャラ別の感想を書いていきます。

栖原カムイ(cv.髙坂篤志)
髙坂さん、私がお名前を見かけるのはプロイセン以来ですね。
カムイ先輩こと栖原カムイは、学校で常に女の子たちに囲まれている色男です。
でも決して気取っているわけではなく、取り巻きが無意識に迷惑行為をしてしまっているときはちゃんと気づいて指摘できる気配りマンでした。
戦闘で親友を失った後、学校で沈んでいる主人公をカムイ先輩は懸命に励ましてくれます。
彼に限りませんが「本当は戦友としてもっと親身に寄り添いたいのに、正体を隠している都合上ただの顔見知りとして優しくするしかできない」というシチュエーションはなんだかもどかしくて、それでいて優しさはしっかり伝わってきて心温まりますね。励まし方に個性が出るのも良い。
まだ全員分は見れていませんが、カムイ先輩が一番シンプルに「優しくしてもらった」感がありました。シンプルに社交性が高い。

個別ルートではそんなカムイ先輩の過去が明らかになります。
彼は幼い頃に事故で両親を失っています。愛情深い祖父に引き取られて育ちましたが、寂しがり屋のカムイ先輩はもっともっと多くの愛を求め、周囲に愛想や親切を振りまくようになります。時に無理をしてでも相手によって都合のいい人を演じて愛情を得ようとしてきたようです。
予知の能力に目覚めたときも、これでもっと人の役に立てる(=愛される)とまず喜んだらしく、いじらしいというか痛々しいというか。
そんな事情を知らされたら放ってはおけないですよね。乙女ゲームは放っておけない男が強いので、カムイ先輩は人気出そう。

けどできれば共通ルートの時点で、取り巻きの女の子たちの関心を得るために無茶をしてしまう様子を描いたりして、彼の抱える問題の片鱗を見せておいてほしかったなと。
このゲームはそういう積み重ねが全体的に足りていないんですよね。

また、カムイ先輩が変身時にわざとらしいお嬢様言葉を話してまでキャラを作っているのは、正体がバレないために別人を演じた方がよいと司令に勧められたからだそうです。
確かに、別人を演じようと思ったら口調から変えてしまうのが一番やりやすいのはわかります。
(でも彼女たち、一般市民に目撃されることがほとんどない存在のはずだから演じる必要なくないか?と思うのですが。メンバー同士は正体が男性であることを知っていただろうし)

高遠トキオ(cv.八代拓)
マイペースな性格の同級生。研究が趣味で、学校内に自分の研究室を持っています。
無愛想に見えますが本人に突き放しているつもりはなく、人と親しくする方法、人に優しくする方法がよくわかっていない子という感じです。
親友を失った主人公を慰めるパートでは、ほとんど話したこともない(ということになっている)はずの主人公を突然自分の研究室に招待してくれます。自分にとって居心地のいい場所だから主人公にとっても居心地がよかろうと思ってのことらしく、人の喜ばせ方がわからないなりに何かしようとしてくれているんだと微笑ましくなりましたね。

そんなトキオくんのルートは、彼的には善意でしたことで主人公が傷ついたけど仲直りして、両思いになって、敵と交渉して攻撃を一旦やめてもらえることになった!やったね!という感じの内容。
彼に関してもキャラ立てはやはり十分とは言えませんでした。
頭はいいけど人の心の機微には疎い系キャラとして作ったのはわかりますが、後半はともかく「頭はいい」の描写をもっと頑張ってほしかったです。
研究室で白衣を着ているだけで、頭がいいとは思えません。
あと何のためかよくわからない土壌採取もしていましたか。魔法少女のような姿で土をいじっている様子は想像すると面白いですが。
また、主人公やセナ、モカと違って生まれつき能力を持っていたと語られるのですが、そのためにどんな苦労や変わった経験をしてきたかも是非知りたいところなのに描かれていません。
こんな風に、もっとここ掘ってくれたら・・・と思うポイントが次々出てくるということは、キャラに興味を持てている証拠でもあるので、こうは言っていても私はこのゲームを楽しめているのでしょう。

ちなみに、少女姿だと活発な印象になるのは、早く害獣討伐を終わらせたいからと、能力者歴の長い自分がみんなを引っ張らなければと普段より気合いが入っていたからで、演技のつもりはなかったとのこと。
確かに口調そのものは変わっていないし、カオリの根がドライなところにはトキオくんを感じます。
さらに、正体がバレた後、気が抜けた状態での彼女の話し方は確かに「トキオくんだ!」と思える演技になっていたのが面白かったです。

 

以上、二人の攻略を終えた時点での感想でした。
今作、決して嫌いではないけど、これだけ掘り下げの甘い作品が高評価されてなるものかという思いもあります。五段階評価なら三が限度かと。
全員攻略できるかわかりませんが、モカちゃんがかわいすぎるので次はミハヤくんを攻略したいです。あと雪波くんのビジュアルも好みすぎるので彼の攻略も頑張りたい。

 

ジャックジャンヌ 四周目感想 つんと澄ました激情家

ジャックジャンヌ、四周目は白田先輩こと白田美ツ騎(cv.梶原岳人)を攻略しました!

人形のように整った容姿が目を引く男子校の歌姫、白田先輩。
歌には強いこだわりを持っていますが、演技やダンスにはあまり意欲的ではない様子。
敢えて苦手な役を演じさせることで役者を伸ばしたがる根地先輩も、白田先輩には比較的負担の少ない役しか振っていません。(本人の中に「もっとできるようになりたい」という思いが芽生えだす冬までは)

基本的にぶっきらぼうな人ですが、(特に歌のことで)頼られれば、ぶつくさ言いながらも的確なアドバイスをくれるいい先輩です。
三年の先輩たちは優秀であるが故にできない人の気持ちは理解しづらそうなのに対して、白田先輩は歌以外では平凡寄りのためか、後輩たちが何につまづいていてどうしたら克服できそうなのかをよく理解しているように見えます。もちろん本人の観察眼の鋭さもあってのことですが。

美しい少女のような容姿から奇異の目で見られることも多かったであろう白田先輩は、他者への警戒心が強めです。
作中にはモブを含めて下品なことを言うキャラは登場しませんが、描かれていないだけで幾度となく不快な目に遭ってきたのでしょう。
しかし主人公に対しては、出会ってあまり経たない頃から、主人公の視線には嫌なものを感じないと言ってくれます。
何かと声をかけてくれたりお茶に誘ってくれたり、敢えて好感度を上げなくても、主人公のことはけっこう気に入ってくれている様子です。

根地先輩ルートでも触れられていましたが、主人公の希佐は相手が求める存在を自在に演じて相手を受け入れることができる「透明な器」の素質があるらしいんですよね。
白田先輩を不快にさせない態度がとれるのも、無意識に相手の希望に合わせる能力あってのことかもしれません。
作中で紙屋・百無以外のほとんどのキャラに好かれているのもそのためでしょうか。乙女ゲーム主人公としては最強スキルですが、どこか末恐ろしさも感じます。
全てを受け入れる彼女の魅力に最初に「あてられた」のはおそらく創ちゃんですよね。
Twitterのサジェストなんかでは「創ちゃん 恐い」と出たりするらしいですが(笑)ある意味では主人公が一番恐ろしい存在なのかも。ファム・ファタールの素質でもあるという。

話を白田先輩に戻します。
白田先輩はたぶん唯一、共通ルートの時点で主人公が女性であることに勘づく人です。
でも主人公が隠したがっている意思を尊重して、踏み込まないでいてくれます。
そうして一線を引きつつも、主人公が不安なときは温かく抱きしめて「お前が何者だったとしても僕は許す」と言ってくれる。共通ルート時点で主人公の最大の秘密を許容してくれるのです。
最初は毒舌な印象が強いですが、とても愛情深く誠実な人なんですよね。こりゃ人気出るわ。

とはいえ基本的にはクールな人なのかな?と思っていましたが、攻略してみるとまた印象が変わりました。
白田先輩、本人も自覚していましたが、実は人一倍熱く激しい感情を胸に秘めた人だったのです。
悔しさや怒り、悲しみもそうですし、喜びや他者への愛情、尊敬の気持ちも人一倍強い。とても純粋で繊細で、精神的に無防備な人なんだろうなというのが攻略してみての感想です。
深入りして傷つくのが怖くて、歌以外に無関心なふりをしていた白田先輩ですが、主人公を初めとしたクォーツの面々の影響を受けて変わっていったのですね。

個別ルートの内容をざっくりまとめると「みんなを支える主人公を支えるために白田先輩が奮闘するお話」でした。
白田先輩は共通の冬公演の時点で役者として一皮剥けているし、主人公の秘密も受け入れてくれてるし、個別ルートで何するんだろう?と思っていましたが、白田先輩自身の問題というよりクラスの問題に向き合っていく内容でしたね。
確かに、有望な1年が4人ほどいるとはいえ、優秀な3年が卒業すれば間違いなくクォーツのレベルは落ちるでしょう。残された後輩の中でも圧倒的な才能を持つ主人公が劇のクオリティを一身で支えることになるのも想像がつきます。
クォーツというクラスを愛し、主人公を愛する白田先輩がそれを黙って見ていられるわけもなく。主人公一人に担わせないために次期組長という慣れないまとめ役を引き受け、自分が歌うことを諦めてまで全体に尽くします。
もちろん自分の演技の稽古も全力です。そんな目まぐるしい日々の中、意地でも時間を作って主人公に歌の稽古をつけてくれる白田先輩。それだけで、どんな濃厚なラブシーンよりも愛を感じられる気がします。

最終的に彼は組長を務めつつ歌も歌い続けるという選択をしますが、一番大切なものを差し出してでも愛する人を活かそうとした彼はまさしく「器」でした。
主人公こそ「器」になる宿命を背負っているような存在なのですが、そんな彼女の「器」になろうという白田先輩の覚悟に凄みを感じます。
「みんなを守るあなたを誰が守るの」とヒーローに寄り添うヒロインのような圧倒的包容力というか。

ちなみに白田先輩ルート、いわゆる糖度は非常~に希薄です。
これまでスズくん、創ちゃん、根地先輩と攻略してきましたが、恋愛らしさが強い順に並べるとスズくん>根地先輩>創ちゃん>>白田先輩になるかなと思います。
キスまでいってるスズくんとプロポーズしてくれる根地先輩は強い。激重執着大爆発創ちゃんも、してることはハグまでですからね。
白田先輩ルートでは「好きだ」と言ってもらえるくらいで、愛し合う恋人同士特有とされる行為はほとんど描かれていません。にも関わらず、間違いなく特別な愛情を感じられる描写になっています。
性的なまなざしに辟易してきた白田先輩だから、性に因らない愛の伝え方を好むのでしょう。
もっとイチャついてるところが見たくないと言えば嘘になりますが、白田先輩らしいと思います。そして希佐は生粋の「器」なのでもちろん彼の愛し方にも応えられるでしょう。
この二人がいればクォーツの未来も明るいですし、文句ない終わり方ですね。

以上が白田先輩ルートの感想です。
攻略を終えて最初の感想は「エモっ!」だったのですが、エモいで終わらせたらブログを書く意味がなくなってしまう・・・!と思って必死でなんとか言葉にしました。まだまだ書き足りない気もしますが、これでも他のキャラ感想よりずっと書くのに時間がかかってしまいました。
好みで言えばやっぱり創ちゃんがナンバーワンですけどね。フィクションにおいては、立派な人よりも恋愛感情で周囲を振り回しまくる迷惑人間のほうが私は好きです。

 

ジャックジャンヌ 三周目感想 いつか才能の泉が枯れても

三周目はみんな大好き根地先輩こと根地黒門(cv.岸尾だいすけ)を攻略しました!いやー面白かったな。
既読部分はスキップすればいい話なんですが、ついつい見返したくなってしまって(特に創ちゃんが出てくる場面は全部!)やたらと時間がかかってしまってます。
楽曲がとてもいいのでスキップ不可の音ゲーも楽しく遊べてますが、いつか飽きてしまう前にコンプリートしたいところですね。

根地先輩、一人で脚本も演出も組長も担いながら自分も舞台に立つという演劇モンスターで、おどけた言動が多いものの演劇に対する情熱は誰もが認めています。
発売直前に投稿されたジャック・オ・蘭たんさんによる宣伝実況動画では「普通に飲みに行きたい、舞台の話聞きたい」みたいなことを言われていました。
実際、彼が登場するシーンは彼が喋っているだけで面白いし、攻略とか置いといても友達になりたい魅力的な人物ですよね。

 

↓この先少しネタバレあり↓

 

根地先輩には、親密度イベントで初めて明かされる情報があります。
というのも、実は女性が苦手だとのことです。ユニヴェールに入学した理由も男性だけで舞台を作れるから。
飄々とした性格の彼が特定の属性の人を恐れていたのは少し意外でしたが、すぐに、納得もできるなと思いました。
彼の演じる女性(サンプル二つですが・・・)って「女嫌いの男が考える女」感が強いんですよね。非常に戯画的で。
女性を恐れるようになった理由は、かつて才気溢れる劇作家であった父が愛人に入れ込むと同時期に才能を失っていき、それを嘆いて海で自殺してしまったから。
幼い根地先輩の目には「女性」という謎の存在が父を破滅に導いたように見えたのでしょう。

演劇をこよなく愛する根地先輩は、実は女性であるとはつゆ知らず主人公に興味津々です。
主人公は溢れる演技の才能と周りを活かす協調性を兼ね備えており、舞台の歯車になるために生まれたような存在ですからね。
君の才能に形があればキッスの洪水を浴びせたとか、君が女性なら才能を世に残すために求婚をしていたとか、脚本家らしく言葉を尽くして褒め倒してくれます。
しかし先のような軽口は、主人公が女性とは思ってもみないからこその発言。
やがて何か感づいたらしい根地先輩は、主人公に自分を誘惑する女性を演じさせてみることで確信を得ます。
(この場面、要求通り誘惑する主人公、もとい寺崎裕香さんの演技が色っぽくてドキドキします。
一つ目の親密度イベントだったか、いきなり悪女を演じさせられたときの「あなたも甘えてみれば?『にゃーん』ってね」みたいな台詞もすごく可愛い。
今作における寺崎さんの功績は凄まじいものだと思います。中性的な声質に、シナリオに説得力を持たせる演技力、そして歌唱力!高く澄んだ歌声がたまりません)

主人公の秘密に勘づいたのとおそらく同時に、主人公に恋をしてしまったと気づく根地先輩。
ユニヴェールにいれば逃れられると信じていた「女性」がずっと傍にいた事実に戸惑うのはもちろん、自分も父の二の舞になってしまうことを予感して恐怖します。
案の定、最終公演を前にして脚本が全く思いつかなくなってしまいます。
でもこれは恋のせいというより、「女性を愛したら才能が消える、父のように」「才能が消えたら死ぬしかない、父のように」という暗示を自分自身にかけ続けてきた結果のような気もします。
彼のルートは、そんな暗示から彼を解放するお話でした。

ルートの中で彼は、父を擁護したいあまりに愛人および女性を悪魔化してしまっていたことや、それ故に自分では悪魔化された女性しか演じられなかったことを告白します。
自分がそんななのにみんなに敢えて苦手な役をやらせたりしてきたことを「好き嫌いする子どもの前で自分は何でも食べられるみたいな顔をするけど自分の嫌いなものを食卓に出してないだけの親」に例えて自嘲する根地先輩。自己分析が的確・・・!と思いました。やはり優れたエンターテイメントを作れる人は客観視に長けているのでしょう。

根地先輩は自分の問題に向き合うことで舞台への前向きさを取り戻します。脚本を書けなくなっただけではなく舞台に関係するあらゆるカンをも失ってしまった彼ですが、めげずに周囲に助言を求め、いろいろ言われながら楽しそうに稽古をする姿には心を打たれました。そんな根地先輩を支えるクォーツのみんなにも。
これも日頃の行いあってのことですね。いつもふざけていて何が本心かわかりにくい根地先輩ですが、舞台への熱だけは誰も疑いませんから。
今作は共通ルートの長さが特徴ですが、積み重ねただけはあると思わせる説得力があり、個別ルートでしっかり効いてきます。

最終的にはクラス優勝を獲得し、根地先輩は不調から完全に回復してめでたしめでたしとなります。
まず「才能が消えたら死ぬしかない」という暗示を「才能が消えても大丈夫」と思えるようになることで克服してから、「女性を愛したら才能が消える」という暗示も克服することが叶うという流れが美しいです。さらに、父の死が才能の喪失を嘆いての「自死」であることすら思い込みかもしれない可能性も示されます。あくまで可能性ですが、過去の呪いが一つ一つ解かれていく様がなんだか感動的です。
主人公への愛で満たされながら舞台で才能を発揮する根地先輩。いつか本当に才能が失われたとしても舞台を続けられることは実証されているため、文句なしの終わり方です。
個人的には、愛を知って天才がただの人間になる展開も好きですが、少なくとも根地先輩の才能の泉はまだまだまだ枯れることを知らないようです。

 

そういえば根地先輩のルートではいわゆる敵役?は出てきませんでしたね。強いて言えば根地先輩の過去のトラウマが敵か。
スズくんルートでは紙屋くん、創ちゃんルートでは百無くんが突っかかってきたので、根地先輩ルートでは田中右先輩が?いよいよ神秘のベールを脱ぐのか??なんて思っていました。
しかし田中右先輩、いかにもヒールっぽいビジュアルと設定なのに彼自身は結構、いい子ですよね。脚本が書けなくなった根地先輩に嫌みの一つでも言ってくるかと思えばそんなこともなく(どさくさに紛れて主人公を勧誘してはきますが)最後には拍手とまっすぐな賞賛の言葉も送ってくれます。
ああ見えて彼は、何かと言葉足らずなだけの真面目な演劇少年かもしれません。圧倒的な才能とカリスマ性のせいもあって、信奉者を悪役ムーブに走らせる素養はあるようですが。
田中右先輩のことがもっと知りたいな。彼のエンドはあるんでしょうか?

 

これまで三人攻略してきて実感するのは主人公のカウンセリング能力の高さ。
作中で主人公は幾度となく苦しんでいる仲間に寄り添い、良い方向へ導きます。相手が求める存在を「演じている」のではないかと言われるほどに。
舞台の歯車としてだけではなく乙女ゲーム主人公としても最高の素質ですよね。制作者インタビューには希佐ルート(ノーマルルート?)に今作の全てが詰まっているというようなことが書かれていましたが、どんな内容なのかとても楽しみです。六人攻略したら読みたいです。

 

あと、無茶ブリで宙返りを要求されてでんぐり返しする創ちゃんが大変可愛かったです。根地先輩ルートのMVPは彼です。はい。

ジャックジャンヌ 二周目感想 一途な幼なじみは万病に効く

ジャックジャンヌ二周目終了!

一周目の反省を活かし、創ちゃんこと世長創司郎(cv.佐藤元)のベストエンドを迎えることができました。
と言っても一度は間に合わなくて、9月くらいまで戻って休日をほぼ全てモナスタースクールに費やすことでなんとか間に合ったのですが。
レベル30にしてもイベントが起こらなくて焦りましたが、30に到達した状態で公演を終えればベストエンドにたどり着くみたいです!
ひょっとしてこのゲーム、目当てのキャラに対応するパラメータ以外は一切上げなくていいんですかね?音ゲー対策に歌唱と舞踏だけ少し上げておけば。
既読スキップを使っても本番の歌とダンスは飛ばせないし、やり直している間は少し心が折れそうでした。
モナ先生、
創ちゃんの顔より見ました。創ちゃんの攻略中なのに・・・。

 

最終公演はやはり『央国のシシア』。一周目クリア後にギャラリーを見て、どのルートも最終公演は同じ演目と知った時は似たような展開になるのかな?とも思ったのですが杞憂でした。
この脚本、演者自身の性格にかなり寄せたキャラ付けをされているため、ルートの中心になる人物(今回は創ちゃん)の抱える問題が如実に表れます。物語の大筋は変わらないのに、演者側で生まれるドラマの変幻自在っぷりはまるで万華鏡のようです。
創ちゃんの問題とは「主人公のためにしか本気を出せないこと」。

創ちゃん、そもそもユニヴェールに入学した動機から主人公ありきでした。
幼い頃は毎日のように遊んだ初恋の女の子である主人公と、急な引っ越しで禄に分かれも告げられないまま離ればなれになってしまった創ちゃん。
その後も主人公を想い続けた創ちゃんは、彼女がユニヴェールへの憧れを口にしていたことを思い出し、ユニヴェールの舞台に立てばきっと見つけてもらえると考えます。
まさか主人公が一緒に入学してくるとは思わなかったでしょう。入学と同時に彼の望みは叶ったわけですが、すぐにそれだけでは満足できなくなります。
入学早々ジャンヌ(女役)として頭角を現した主人公の相手にふさわしいジャック(男役)になりたい、と考えるようになったのです。
こんな感じで、彼の演技へのモチベーションの中心は常に主人公でした。

そのことに気がついていた根地先輩。創ちゃんの可能性に期待を寄せているからこそ、最初はあえて主人公と組ませないことにします。
案の定、秋冬の勢いはどこへ行ったんだとばかりに精彩を欠いた演技しかできなくなる創ちゃん。
考えてみると確かに、秋公演のフィガロも冬公演のフギオーも主人公と絡むシーンが多い役でした。一周目では単純に彼の成長を喜んでしまいましたが、共通ルートの時点で既に彼の問題は示唆されていたんですね。話作りが上手いなあ。

行き詰まった創ちゃんはアンバーの百無くんにそそのかされ「主人公のためだけに演技すること」を自分が輝く唯一の手段と考えます。
それからは一転、主演らしい存在感を放てるようになります。その反面、他のメンバーを押しのけて良さを殺してしまっていることに気がつけません。
ここで、独りよがりになった創ちゃんを一喝するのがスズくんというのが良いですね。
先輩たちが、自分たちの未熟だったころを思い出しつつ創ちゃんの好きにさせてあげようとする中、対等な立場であるスズくんだけが異議を唱えることができたのです。

主人公を最も大切にしていることは事実でも、決して他のみんながどうでもいいわけじゃないはず。これまでの公演を通して、スズくんや先輩たちと共に困難を乗り越え、クォーツというクラスへの愛も育んできたはずです。
もうとっくに広がっていた世界を、百無くんの助言を真に受けて狭めてしまっていた。スズくんはそのことに気づかせてくれました。

幼なじみキャラは最初から主人公に一途な好意を抱いている分、個別ルートでは愛ゆえの視野の狭さが解決すべき問題として設定されがちです。創ちゃんも例に漏れず。今作においては共通ルートでじっっくりとクォーツの仲間との絆が描かれてきたために、問題の解決にも説得力が生まれたと思います。
元のみんなに優しい創ちゃんに戻って良かった!と思いつつ、百無くんにそそのかされていた時期のヤンデレ一歩手前っぷりは正直萌えました。愛の重い幼なじみは滋養強壮に良いのです。

 

以上が二周目、創ちゃんルートの感想です。
一周目、秋公演でアプローチシーンにドギマギする創ちゃんがあまりに可愛くて、私はたぶん創ちゃん推しだなーと思っていたのですが、攻略してみて絶対創ちゃん推しだな!という確信に変わりました。
クォーツのみんなは鳳くん含めて全員好きですが、今のところ創ちゃんが一番、次点でスズくんと根地先輩が好きです。
サブキャラだと御法川先輩!普段女子たち(ではないけど)にナメられている先輩が実は何でもこなせるハイスペック男子って普通にときめきます。御法川先輩エンドもあるんでしょうか?知りたいけど極力ネタバレを見ずに楽しみたいのでまだ攻略サイトは見ないようにします。

ちなみに劇中歌で一番好きなのは『懺悔室で激しく懺悔』です。根地先輩カッコよすぎる!
音ゲーが大の苦手な私は二つ目の難易度で既に超苦戦していますが、何度もやってたら五十個くらいあったミスが十個くらいまで減りました。
しょぼいステップアップですが嬉しいです。今後も何度もやることになると思うので頑張ります。