乙女ゲームおたくの日記

主に乙女ゲームの感想を書きます。

even if TEMPEST 宵闇にかく語りき魔女 感想① Web小説的ファンタジー世界でダンガンロンパ

6月9日にボルテージより発売された『even if TEMPEST 宵闇にかく語りき魔女』。
私の中でボルテージと言えば『ダウト~嘘つきオトコは誰?~』を始めとしたスマホ向けゲームなのですが、ここにきてなぜかコンシューマーで新作を出してくれました。
コンシューマーメインで遊んでいる方にとっては「気になるけどボルテージって聞かないし、どんな内容なの?面白い?」とお思いかもしれません。
仇花の賞を途中まで進めた時点での感想なのですが……かなり面白い!
どんな内容なのかを私なりに大雑把に言うと、記事のタイトルにもしたとおり「Web小説風ファンタジー世界でダンガンロンパ」という感じです。

ファンタジーはファンタジーでも、技術や価値観はだいぶ現代に寄っているタイプのファンタジー世界です。登場人物の会話に「車」「電話」「ブロマイド」「ドM」といったモダンな単語が出てきますし、「医療行為だからセクハラと訴えるなよ」というような台詞もあったり。セクハラってだいぶ近年の概念ですよね。「死に戻り」という要素も含め、テンペスト世界はかなりWeb小説の系統を感じさせます。

そんな世界で、最も特徴的な存在が「魔女」。
魔女は「女」とはついているものの男とも女ともつかない邪悪な非人間的存在であるらしく、人々は魔女を恐れて神にすがり、神の威光を背負った王族を敬っています。
主人公のアナスタシアはなんだかんだあって(本当になんだかんだあって)魔女が主催する裁判に関与させられることになります。
魔女が主催する裁判とは、魔女が自分の選んだ人間に人智を超えた能力を与えて殺人を犯させ、裁判を開いて民衆に犯人当てをさせるという戯れのこと。

なんと悪趣味な……私そういうの大好き!
魔女はダンガンロンパでいうところのモノクマ的な存在ですね。

犯人は人智を超越した力を与えられており、さらに魔女の粋な計らい(?)で犯行に及んでいる間ほかの人間は眠らされているため、普通の推理モノで焦点になる「物理的に可能か」「人に見られずにできるか」という点については考慮しなくていいようです。なのでポイントになるのは「いかに動機のある人間をあぶり出すか」と「いかに民衆の心証を誘導するか」になるのかな。
さすがに人気推理ゲームと同等とは言えないまでも、裁判パートはよく作り込まれています。(『ダウト』も推理ゲームとしてかなり楽しかったことを思い出しました。スタッフさん被っているかは知りませんが)
裁判に臨むための証拠集めから始まり、裁判中も気を抜くとゲームオーバー直行。
ただ正解の選択肢を選べばいいわけではなく、おそらく選ぶ順番も重要だったりします。
私は最初の裁判で2回ほどティレルを死なせてしまいました。ごめんティレル

キャラクターも今のところ未知数であるものの、生き生きとして魅力的です。
異端審問官のティレルは偏屈で嫌味な性格ですが優しいところもある、というキャラ性が実際の行動を伴って描かれており説得力があります。今のところ主人公との関係に色っぽいところは無くあくまで仕事上の相棒という感じですがそれがいい。
謎解き正解して杉山紀彰声のイケメンに褒めてもらえるのってすごく嬉しい!
主人公アナスタシアは基本的に冷静で頭のいい女性ですがひどく純粋なところがあり、一度信じた相手は徹底的に裏切られるまで信じ抜いてしまう危うさがあります。その危うさが今後どう出るのか気になるところです。

イラストも今作の大きな魅力ですね。のりた先生、私は初めて見かける方でしたが、絵柄が好みな上に立ち絵・スチルどれも整っています。こういうコンセプトの作品らしい、絶望顔やいわゆるゲス顔といった穏やかではない方向で豊かな表情も見所です。

今作、普段乙女ゲームをプレイしない人でも楽しめそうだなと思います。
悪役令嬢ものが好きで、実際の乙女ゲームにも少し興味あるけど……という層がもしいたら、是非『テンペスト』をオススメしたいですね。

最後に一つ思ったことを。
ルーシェン殿下の情けない泣き顔見せてー!!