乙女ゲームおたくの日記

主に乙女ゲームの感想を書きます。

神サマなんて呼んでない! 感想 10歳年下だけど犯罪じゃない!

 かみよんこと「神サマなんて呼んでない!」はKalmia8から2017年に発売されたミドルプライスの18禁乙女ゲームです。

ジャンルは和風ファンタジーブコメといったところ。攻略対象は2人だけだし、シナリオもボリュームたっぷりというわけではありませんが、どうしてか好きでたまらないゲームです。発売してからすぐに買ってプレイしていたのですが、どうしても感想を残したかったので今更ですが感想記事を書きます。

 

 この作品、乙女ゲームとしてはちょっと珍しい設定が多いのです。まず主人公の風花は29歳のグラフィックデザイナー。若手ではありますが確かな実力で地道にキャリアと人脈を築いてきたやり手です。乙女ゲームの主人公ってほとんど学生だし、働いていても「新米」経営者とか「新米」警察官とかなのでこの時点で新鮮です。デザイナーという職業に縁がないのでどれほど実情に即しているかわからないのですが、お仕事描写は割とリアルな感じです。

 

 風花は実はあらゆる神を引き寄せてしまう「神寄せ」という稀有な体質の持ち主でした。幼少期からずっと側にいたという守り神の碧依が見えるようになり、碧依を妖と間違えて祓おうとする祓い師の洸太くんが現れます(この2人が攻略対象です)。碧依が風花を守るためと言ってある儀式をしようとしたところ洸太くんに阻止されて失敗、その副作用で碧依は神の力の大部分を失い、風花は小学生くらいの子どもの姿になってしまいます。元の姿に戻るには、碧依の力が戻るのを待たなければなりません。

 デザイナーという職業柄、客と対面しなくてもある程度仕事はできますが、それでも打ち合わせやコンペで顔を出さなければならない日があります。洸太くんが術で風花になりきって乗り切ろうとしたり、別の神様の手で一時的に大人に戻してもらったりして仕事を続けるのですが、この、地に足のついたお仕事描写とトンデモファンタジーの融合っぷりが面白い!突然怪異に見舞われたところで仕事を休むわけにはいかない大人の悲哀ですね。

 

 そしてこのゲーム、攻略対象の2人も魅力的です。2人しかいないけど2人とも好みという稀有な作品です。

・碧依

 守り神の碧依は数百年の時を生きる強力な神様。神様の世界では有名人です。傲岸不遜な性格ですが、勝気な風花にはなんだかんだいって逆らえません。仕事の邪魔だからネカフェにでも行けとお金を渡され追い出され、ネカフェで呼んだ漫画にどハマりして帰ってきたりします。そしてまたネカフェに行くから金を寄越せと集ってきます。高位の神様なのに…。

風花のことは偉い神様に命じられて幼少期から守っているので、過去の恋愛遍歴から便通事情までお見通しです。

風花には過去に付き合った男性が何人もいましたが、実はみんな風花の力を狙った神様でした。不埒な神から神寄せを守るのが役目の碧依は、深い仲になる前に風花の歴代彼氏を排除してきたそうです。付き合う男、付き合う男いつのまにか自分の前から消えてしまうことで何度も傷ついてきた主人公は、守るためと言われたところで碧依のしたことに納得ができず、つい必要以上にきつい態度をとってしまいます。

碧依の方は、ずっと見守るうちに風花に特別な感情を抱くようになったため、神たちを排除するのも役目だけではなく嫉妬の気持ちもあったりしたのですが、風花にはなかなか受け入れてもらえずちょっと不憫です。でもそれがいい。

 

・篠田洸太

 祓い師の洸太くんは19歳で現役大学生でもあり、風花より一回り年下です。有力な祓い師一族に生まれ才能にも恵まれた彼は、一族からは目に入れても痛くないほど可愛がられていますが、修行ばかりの日々だったので同世代の友人はいません。恋愛経験もゼロです。

純粋で思い込みの激しい彼は、碧依を妖と勘違いして事態を混乱させてしまいますが、事情を知ると、神寄せ体質の風花を守るため、大人の姿に戻すために色々頑張ってくれます。初対面時の風花は子ども姿でしたが、弁天ちゃんの力を借りて一時的に大人に戻った姿を見た洸太くんは一目惚れしてしまい、それから風花を意識するようになります。

私も一応社会人なのですっかり風花側の気持ちになってしまい、年下の洸太くんの頑張り屋な部分や頼りなさ、ド天然クソ童貞っぷりが全部可愛くてしゃーなかったです。乙女ゲームで10歳下を攻略できることなんてそうそうないですよね。便通事情を把握している攻略対象も他にいませんが。

 

 

サブキャラだと、風花の個人事務所でアルバイトしている美大生女子の鈴芽ちゃんが良かったです。ふんわりとしたビジュアルに可愛らしい声ですが、けっこう俗な話題にも対応可な面白い子で、風花と男キャラの乳首を描くか描かないかでひとしきり盛り上がる場面は、洸太くんがドン引きしてるところまで含めて楽しかったです。全年齢向けゲームの女友達キャラとは絶対こんな会話できませんね。

 

エンディングは大人の姿に戻れるトゥルーエンドと子ども姿のままのノーマルエンドが2人分、それと3Pエンドがあるので全5つです。選択肢は少なめだしわかりやすいので、攻略でつまずくことはなさそうです。

エロシーンは各エンドに1つずつと後日談でも1回ずつ、2人分だったと思うので計7回になるのかな。エロにはあんまり興味ないので飛ばし読み気味ではありましたが、無理やり襲ってくるシチュがないのでそういうのが苦手な私は心穏やかに読めました。俺様な碧依も純情な洸太くんも、風花には頭が上がらないのでそんな心配は必要ないですね。

 

18禁乙女ゲームで話題になる作品って、蝶毒や吉原彼岸花みたいにしっとりとした(陰鬱なともいう)雰囲気の作品が多めだと思うので、シリアス要素ほぼなしのコメディ作品は新鮮でした。実在作品を用いたオタクネタやちょっと下品な下ネタも多く、コンシューマーの全年齢向けゲームでは出せない野放図っぷりが愉快なゲームです。ノリが合えば絶対楽しく遊べるおすすめゲームです。