乙女ゲームおたくの日記

主に乙女ゲームの感想を書きます。

BUSTAFELLOWS-バスタフェロウズ- 感想②

 ②ではキャラクター別感想を実際に攻略した順に、あまりストーリーの核心には触れない感じで書いていきます(特典SSの内容に少し触れています)

このゲームに関しては、攻略順はあまり気にしなくていいと思います。特定のルートだけ明かされる設定が多いということもないので、素直に気になる順にプレイするのがいいかと思います。

 

 

スケアクロウ

クロちゃんはフィクションでは頻出するタイプの超凄腕ハッカーです。彼一人で解決できそうな案件も少なくないくらい。

だけどお調子者であわてんぼうな性格のせいでいまいちキマらない。そこがかわいい!一番冷静でいなければならない司令塔役のはずなのに、不測の事態に一番テンパっててかわいい。「俺がミスをしたことがあったか?」とカッコつけたら、仲間たちに声を揃えて「あった」と返されるシーンがあって笑いました。優秀だけど失敗もちょいちょいしてて、他の仲間がカバーして支えあってきたんですね。

彼はテウタを一目見た時から気に入ったらしく、テウタがお礼を言ったりしただけで顔を赤らめてキョドるし(キョドる演技が本当にかわいい!)「かわいい」って声に出ちゃってるし、最初から好意がダダ漏れで大変かわいいですね。他のメンバーがクール寄りなので彼の存在は他ルートでも癒しでした。特にシュウのルートで、シュウと本当に恋人になれたか不安なテウタのために色々世話焼いてくれるのがかわいかったです。気遣い屋のくせにKYなので空回りっぱなしなのが可哀想でいいですね。

 

このゲーム、共通ルートの途中で性格テストみたいなのがあって、そこでどう答えるかで好感度がほとんど決まる感じなんですが、最初それを知らずに「テウタだったらこう答えるかな」と自分なりに想像して答えてたらスケアクロウルートに入りました。テウタはクロちゃんとお似合いってことですね!たぶん私が素で答えたらヘルベチカルートになると思います。(ヘルベチカはきっと私のような人間は嫌いですが…)

他の選択肢による好感度上昇がほぼ意味ないっぽいのは寂しいけど、性格テストの部分さえやり直せば簡単に好感度調節ができるので、攻略はだいぶやりやすかったです。

 

共通ルートの終盤あたりで、主人公の着る水着がその時点で最も高感度の高いキャラの趣味を反映したものになるんですが、クロちゃんの場合「白いビキニ」になります。わっかりやす!!アイドルの写真集とかでも白ビキニは鉄板ですよね。露出と清楚感の両立ってやつかな。ノースリーブの白ワンピに麦わら帽子とかも好きそうだなあ。

 

クロちゃんルートでは亡くなったと思われてた彼のお父さんが登場するのですが、有能なのにあわてんぼうなせいでかっこよくならないところがそっくりで可愛かったです。

 

一件落着して彼と両思いになったところで「sideBが解放されました」という表示を見たときは「これまでが前半だったの!?これからもう半分あるの!?」と驚きつつ期待してしまったけど、sideBは単に後日談で、もう一悶着あったりはしませんでした。

テウタに私の彼氏って紹介されてニヤけるクロちゃんかわいい。「彼女を助手席に載せてデート」やりたさに運転苦手なのにガチガチでハンドル握るクロちゃんかわいい。ピクニックしたかったのに雨上がりで土がぬかるんでて、結局テウタともども泥んこになって帰ってくる羽目になってモズに怒られるクロちゃんかわいい。このキマらなさがクロちゃんだよなあ。お父さんみたいに、おじさんになってもそのままでいてほしいです。

 かわいいかわいいって書きすぎたな。お察しのとおり推しです。

 

 

・モズ

 モズは検死官主任です。この若さで主任になれるほどだから腕を認められてはいますが、死体に「教えて、君はどうして死んだの」などと話しかけながら解剖する彼は、同僚たちにちょっと不思議ちゃん扱いされているようです。

 物言いこそ独特なモズですが、いざ攻略してみると、コミュニケーションが少し苦手なだけで人間や動物のことは好きで、何か自分に出来ることをしてあげたいと常に考えているような天使みたいな人でした。死体に話しかけるのも、相手に聞こえてるとは思っちゃいないけど、死人を尊厳ある人間として扱いたいという思いが彼の場合「語りかける」という行為に現れているのかなあと思います。

 

ある場面で、彼が学生時代のことを話してくれるんですが、それをテウタに話してくれるということまで含めて地味に好きなエピソードです。

学校で孤立気味だったモズがある日みんなの会話に参加できます。美味い飯屋を知ってるかという話になったので、モズは思い切って自分のお気に入りの店を穴場として教えるのですが、そこは誰でも知っているチェーン店で、みんなに笑われてしまい、辛い思いをしたそうです。

それだけといえばそれだけなんですが、自分が人とズレていること、みんなが当たり前に知っていることを自分は知らないことに傷つくモズがあまりに人間味に溢れていて、本当のモズは私が思っているよりずっと繊細な感情を持っていたんだと気付かされました。不思議ちゃんのような扱いにも内心は傷ついていたりするんでしょうか。

 このゲームは車を運転するシーンが多いですが、バスタフェロウズのメンバーの中ではモズだけ運転していないですね。職場にも自転車で通っているようです。優しいモズのことだから、事故で他人を傷つけてしまうリスクを考えて避けているのかもしれないです。

 

 あとモズ、淡々としているように見えて割とスケベなところも魅力だと思います。 水着の件とか、突然壁ドンして性的興奮を促そうとしたりとか。

 

  

・ヘルベチカ

 ヘルベチカは口調こそ穏やかですがちょっと意地悪でひねくれ者です。しかし美容形成外科医の仕事に対してはとても真面目。彼自身、整形によって自分を良い方向に変えることができたと思っているからです。

スラム街出身の彼は、かつて生きるために同じような境遇の子供たちと犯罪に手を染めていましたが、ある理由で仲間たちに吊し上げられ、ゴミのように捨てられてしまいます。通りかかったサウリ先生に拾われた彼は「別人になる」ことを欲して、整形手術をしてもらったのです。

生まれ持った性質(容姿を含む)がその人の本質ということはない、変えようと思えば変えることができる。という考え方は好きなので、私は整形しようと思ったことないですが(美容に関心がないので)整形を、なりたい自分に近づくための手段としてポジティブに捉えるヘルベチカの考えには共感できると思いました。

ただ彼は「自分を変えるための努力をしない人間は嫌い」と言っていて、そこが自己研鑽に消極的な人間としてはグサッとくるというか、ヘルベチカ絶対に私のこと嫌いだろうな…とか思ってしまったり。逆に彼がテウタのようなひたむきで向上心の強い女の子を好きになるのは納得しかないです。

 

しかし、他のキャラは1人でもなんとか生きていけそうだけど、ヘルベチカは側に誰かいないとだめになっちゃいそうですよね。彼が常に上を目指そうとするのもたぶん、サウリ先生や自分を信頼してくれる患者、自分を好いてくれる女性たちに見捨てられないためという理由が大きいのでは。他者の承認を心の支えにしすぎている危うさが彼にはある気がします。

 

 また、ヘルベチカは執着心や嫉妬心が人一倍強いですが、その発露の仕方が、乙女ゲームにちょいちょいいるヤンデレキャラがやる監禁やレイプ未遂のような暴力的なものとはかけ離れているとこが愛おしいポイントだなと思います。アダムに合わないでと懇願したり、寂しくてテウタの不在時にテウタのベッドに潜り込んで、テウタのマフラーを抱きしめて眠ったり。なんだこの可愛い生き物は?

特典SSのヘルベチカも可愛かった。2週間海外出張することになったヘルベチカが、本当は2週間“も”テウタに会えないのが寂しいけど、テウタに出張のことを伝えて“たったの”2週間と軽く見送られてしまうのが怖くて、黙って行こうとします。想いの温度差を感じて傷つくらいなら、なんで黙ってたと怒られる方がマシと考えたらしく、なんと繊細めんどくさ可愛いんでしょうねこのお兄さんは。

 今公式サイトで「幸せにしてあげたいのは誰?」ってアンケートやってますが、クロちゃん推しの私でも「幸せにしてあげたい」で思い浮かぶのはヘルベチカですね。

 

 

・シュウ

バウンティハンター兼キラー・キラー(殺し屋専門の殺し屋)のシュウ。ぶっきらぼうだけど優しく、適度にお茶目で素敵なお兄さんでした。

最初こそ怪しげな自称・超能力者テウタへの警戒を隠さなかったシュウですが、仲良くなるとテウタのことをまるで妹のように可愛がってくれます。テウタが書いた本の重版が決まったお祝いにお手製の「何でもお願い聞いてあげる券」をくれたりして。タバコ買ったレシートの裏を使ってるという雑さも良い。

移動遊園地ではしゃぐテウタに付き合ってくれるし。                                

観覧車の小さなゴンドラで向かい合って座るスチルがすごく好きです。シュウの目が優しげで、テウタのことが本当に可愛いんだなーという感じがして。

 

このゲームでは全キャラに料理がらみのエピソードがありますが、一番よかったのはシュウがミートスパゲッティを作ってくれる話です。

最初はテウタが手料理を振る舞おうとするのですが、シュウにリクエストを聞くと「ミックスナッツ」と答えられます。シュウはそもそも食べることに関心がなく、ナッツを好むのも手っ取り早く補給できるからとのことです。

これまでシュウは“お師さん”が遺したリストに載っている殺し屋たちを殺すことだけが自分の役割と考え、人間らしく生きることを諦めてきました。ただの作業だと思っていた食事を楽しめるようになるにはまだ時間がかかると考えたシュウは、せっかくテウタに料理を作ってもらっても今の自分では味わえないから、今回はオレが作ると腕をふるってくれるのです。

この、「料理を作って食べさせてあげたい」というテウタの真心に、今は食べないという選択で応えるシュウが好きなんです。

 

私はバッドエンド見れないタイプなので見れてないですが、ステラワース特典のバッドエンド後日談は読みました。自分のせいで愛しいテウタをむごく殺されてしまったシュウが悲しみに狂ってしまう辛いお話でした。

作中で、あくまで仕事仲間だったバスタフェロウズの関係がテウタの介入によって家族のようなものに変わったという誰かの発言があったと思いますが(誰だっけ?)この後日談では、テウタを失ったことでメンバー間にまた距離が生じているように感じられて切ないです。テウタがいるバスタフェロウズならシュウの苦しみに寄り添えたかもしれないのに、そのテウタの死がシュウを苦しめているわけで。チームでは1番ぽっと出のテウタがそれだけ大きな存在になっていたという事実が、悲しいながらにグッとくるような後日談でした。

ところで、適当に選択肢選んでたらいつのまにかシュウの喫煙を推奨したことになっていたけど、どうしたら禁煙させられるんでしょうか?攻略サイト頼るしかないかな。

 

 

・リンボ

 悪徳弁護士というキャッチフレーズのリンボですが、なんか悪いことしてましたかね?

軽犯罪を繰り返す貧困層の少年の面倒を見たり、劣悪な環境で労働に従事させられる移民を救う活動をしていたりと、むしろ非常に正義感の強い人物ですよね。

社会的弱者のために自分がかけられる手間は惜しまない、しかもそこに何の衒いもない。それはリンボが指折りの名家の生まれで、金になる仕事を選ばなくても不自由することはないという状況も関係しているかもしれません。しかし恵まれて育った者として当然に、自分の持てるものを社会の公正のために使おうとするリンボは素直にカッコいいと思います。

バスタフェロウズのメンバーはそれぞれ優秀ですが、リーダーシップを取れるのはリンボだけでしょうね。スケアクロウはリーダーにするには頼りないし、後の3人は世直し業に対しては誘われればやるというスタンスのように見えます。

 

彼のルートではかつての弁護士仲間・ナヴィードとの確執が話の核になります。

リンボがナヴィードに会いに行くのに反対してみたらリンボが死ぬバッドエンドに向かい始めて慌てて履歴一生懸命遡りました。心臓が止まるかと思った。でも現実だったら、明らかに害意を持ってる人物に会いにいくなんてやっぱり反対すると思います。

 

 特典のバッドエンド後日談は私が見てない方のバッドエンドの後の話みたいですね。かつてリンボが助けようとした移民の女性が自殺したのと同じ状況でナヴィードに自殺“させられた”テウタ。リンボは、大切な女性が過去のトラウマを思い起こさせる死に方をしたショックで様子がおかしくなってしまいます。

そんなリンボに、姉のヴァレリーさんが根気よく寄り添って声をかけ、病院に連れて行こうとする様子が読んでいて痛ましいです。

でも同時に、リンボはきっと大丈夫だろうなと思いました。ヴァレリーさんのような人が側にいてくれるのだから、リンボの傷は簡単には癒えないだろうけど、それでも時間をかけてゆっくり立ち直っていけるだろうなという気がしました。

恵まれた環境で家族に愛されて育ったが故の強さというか、自分が良かれと思ってやったことが裏目に出るような辛い目にあっても、周囲に支えられながら最終的にはまた正しい方向を向くことができるのがリンボという男なんじゃないかなと思います。シュウが壊れてしまったのとは対照的ですね(あくまで私の想像なので、もしかしたら立ち直れないかもしれませんが)

 

あとリンボが選んでくれた水着、フリル付きで体の線が出づらいからかリンボ以外のキャラの反応が軒並み芳しくなくて笑った。みんな即物的すぎるだろ!

 

 

・所感

 個人的にこのゲームでいいなと思ったのが、主人公が攻略対象のために料理する場面と、攻略対象が主人公のために料理してくれる場面が同じくらいあったところ。主人公が作ってあげるシチュエーションが嫌いなわけじゃないですが、一方向だけだとなんか腑に落ちないので・・・(主人公がひたすら飯作ってるゲーム多い気がする)大切な人のために料理を作ってあげたい気持ちは男も女も変わらないっていうのが良かったです。私もクロちゃんが作ってくれたチーズインしてないハンバーグ食べたい!!もしコラボカフェとかやるなら再現して食べさせてほしいなあ。もしそうなったら田舎からはるばる東京へ馳せ参じる所存です。

テウタは料理下手という設定なんだけど、なんでも真っ黒焦げにしちゃうみたいな下手さじゃなくて、知識不足(+大雑把な性格)のせいで失敗しちゃう感じがリアルでした。片栗粉を入れすぎて八宝菜をカチカチにしてしまったり、卵に穴を開けずにチンして爆発させたり。実際、料理が上手か下手かを分けるのはほぼ知識ですよね。たぶん。

クロちゃんも同じタイプの料理下手で、感謝祭の七面鳥のくだりは二人がポンコツすぎて可愛くてしょうがなかったです。シュウがある程度料理できるくせに面白がって(面倒がって?)止めないのがまた楽しい。

 

 

以上でバスタフェロウズの感想は終わりです。これでようやく他のプレイヤーさんの感想を見に行ける!!

感想を書くと決めたゲームでは書き終わるまで他の人の感想を見ないと決めたんですが、私が感じるようなことは他の方がとっくに私よりずっと上手に言葉にしているに決まっているので、見てしまうと「私書く意味ないじゃん・・・」となるのが目に見えているからです。