BUSTAFELLOWS-バスタフェロウズ- 感想①
文化放送エクステンドの新作「BUSTAFELLOWS-バスタフェロウズ-」通称バスタフェをプレイしました。
前作の「Side Kicks!」と同じ流れを汲む、海外ドラマを強く意識したクライムサスペンス風乙女ゲームです。
一言で言うと、すっごく面白かったです!!ここ最近出た新作でダントツ1番だと思います(新作自体少ないけど…) 好み云々を抜きにしても、これだけ気合いの入った新作が出るなんて乙女ゲーム業界も捨てたもんじゃないですね。
まずざっくりと良いと思った点残念だった点を挙げます。
◯良い点
・攻略対象が全員魅力的
興味を持てない攻略対象が1人はいるものですが、バスタフェのキャラは全員好きです。自分たちを「悪」と言う割にみんなめっちゃいい人です。強いて好きな順に並べるなら
スケアクロウ>モズ>シュウ≧ヘルベチカ>リンボ
という感じになりますが(わかりやすい欠点があるキャラほど好き)どのキャラも読み進めるほど新たな魅力に気づけるようなシナリオでした。
チーム仲も良好で、馴れ合いはしない的なことを言いつつもお互いのことを大切に思っていることが様々な場面で感じられました。
・主人公のキャラが立っている
主人公の新聞記者・テウタは自分の意見をしっかりと持っている人です。特に尖ったことは言わないし優等生的なんだけど、他の人なら沈黙を選ぶような場面でも「私はこう考えるよ」と主張できて、うやむやにしないところが彼女の魅力だと思います。
さらに新人ながら記者としても評判が良く、記憶力に優れ、運動神経もいいというだいぶハイスペックな主人公です。感情移入するにはちょっと気後れするくらいです。それくらいでないと攻略対象陣と釣り合わないかもしれませんが。
この作品は恋愛過程が特別丁寧に描かれているわけではないですが、それぞれの正義感なり使命感を抱いて動くバスタフェロウズのメンバーたちが、自分の意思を持っているテウタを仲間と認め、やがて惹かれていくのはなんだかわかる気がしました。
あと、テウタが魅力的な主人公となっているのは設定の功績も大きいと思います。テウタは過去に遡って未来を変える能力を持っているけど、遡っているときは他の誰かに“なって”しまいます。遠い街の人間になったりはしないので距離的な制約はあるのでしょうが、大抵は見知らぬ場所の見知らぬ誰かになります。
バスタフェロウズの誰かに伝えさえすれば回避できるような事態でも、連絡手段を確保するのに一苦労です。携帯にパスコードがかかってたり、幼い子どもに”なって”しまうと親と離れるのにも適当な理由をつけないとならなかったり。あまり長い時間は遡れないので、限られた時間でそういった問題をクリアしないといけないし。そういう能力であるおかげで、主人公が自分で考えて行動せざるを得ないために、主人公が賢く、行動的に見えるようになっているという点もあると思います。
前作の主人公ミノリは、個人的には大人しすぎて魅力に欠ける主人公だなという印象があったのですが、能力の性質上仕方のないことだったのかもと思います。
ミノリは予知夢を見ることができますが、夢の内容をサイドキックスのメンバーに話す→メンバーがなんとかしてくれる。というただのメッセンジャー状態になってしまっている感じがしました。
ミノリが予知夢を見られる以外はただの一般人である以上、あとは他のメンバーに任せる方がいいのは仕方ないとは思います。設定上どうしてもそうなってしまうでしょう。メッセンジャー役という点ではテウタも同じなので、テウタも単なる予知能力者という設定だったらそうなっていたかもしれない。
今作からは、前作でユーザーから指摘された欠点を一つ残らずクリアしてやるぞという気概を至るところで感じるのですが、テウタの能力の設定もそのために考え抜かれたんだろうなと思います。
サイドキックスも面白かったけど、バスタフェロウズはほとんどの点で前作を上回っている(と私は思う)ので文化放送エクステンドさんの改善能力がすごい。
あと、乙女ゲームの主人公は(攻略対象の大半が成人のゲームでも)未成年であることが多い中、テウタは21歳で成人済みという設定もよかったです。酒好きとしては、みんなで飲酒するシーンが何回もあってどれも楽しそうで羨ましかったです。
・キャスティングが良い
攻略対象であるバスタフェロウズのメンバーにはKENNさん、細谷佳正さん、吉野裕行さん、福山潤さん、白井悠介さんという乙女ゲームとしては手堅いメンツが揃っており、キャラにもよく合っていました。
お坊ちゃんな上にハイスペックで、ひょっとすると嫌みになりようなリンボに、素朴な声質のKENNさんを当てることで裏表のなさ・まっすぐさが出せていたし、
ぶっきらぼうだけど面倒みのいい兄ちゃんを演じさせたら右に出るものがいない(主観)細谷佳正さんにシュウはベストマッチだったし、
吉野裕行さんのべったり(?)とした声質がヘルベチカのちょっと嫌味で繊細で色気のあるキャラクターを引き立てていたし、
ちょっとコミュニケーションに難があるけどと優しくて真面目なモズには、福山潤さんの爽やかでどこか品のある声がぴったりだったし、
白井悠介さんは前作ではクールにシシバを演じていましたが、今回はヒプマイの乱数を大人しくしたような中高音の少年らしい演技。キョドりが上手くてスケアクロウのピュア可愛さを存分に堪能できました。
その他のキャラについてですが、テウタの声は最初はあまり好みじゃないなと思いましたが、主人公だけあってたくさん喋るのですぐに慣れました。
他に印象的だったのがカルメン。ビジュアルはグラマーな女性だけど声は柿原徹也さんです。声色はいつも通りの柿原さんでしたがそれが普通に可愛くて、チグハグな印象は全く受けませんでした。彼女はいわゆるMtFなのかな?と思いましたが、作中ではそのあたり突っ込まれることが一切なくて、それがある意味いいなと思いました。わざわざ聞くことじゃないですもんね。「女同士でショ」という台詞があっても誰も「お前は男だろ」みたいなことを言わないし。前作ではキララがそういうツッコまれ方をされててちょっと可哀想だなと思ってました。
・演出が凝っている
誰かがセリフウィンドウ付きで喋っているとき、バックで別の誰かの声が流れているみたいな場面が結構ありました。例えば飲み会のシーンで、主人公と誰かが会話をしているときにバックで別のキャラが注文を店員に伝えている声が聞こえる、みたいな。集団でいるときに全員が順番に話すのもおかしな話だし、ワイワイした感じがよく出ていて楽しいです。
(ただ、スキップしてるときバックで流れているセリフが終わらないと次の場面に行かなかったりするのがちょっと面倒でした)
あと背景がよく動きます。他のジャンルのゲームがどうか知らないけど、普段乙女ゲーム以外ほぼやらない身にとっては珍しいくらい動いてて感動してしまいました。
あと地味にいいなと思ったのが、今作には「自分の携帯を見る」立ち絵が攻略対象全員分あるのですが、誰かの携帯が鳴るとみんな一斉にその立ち絵に切り替わって携帯チェックするのがリアルでした。そういう細かい演出が隅々にあります。
◯良くない点
・全員攻略後に読めるストーリーの内容が物足りない
あまり詳しくは書きませんが正直「これで終わり?」と思ってしまいました。どのルートでも存在を仄めかされてきたある大きな組織との決着がようやくつけられるのかと思いきや。幼馴染アダムの秘密や主人公にくれた青い薔薇の花束の意味、テウタの兄の死の真相、アレックスの正体など、知りたかったことは大体明らかになったのですが、明らかになったところで突然終わってしまったという感じです。
前作がグランドルートにあたるタテワキルートに全力投球だったので、今作でもそうなるかなと期待してたのでちょっと残念でした。その代わり、各ルートの面白さはかなり増していると思います。でもやっぱり、テウタのことがずっと好きだったというアダムとの恋が見たかったなあ。
・選択肢でセーブできない
選んだ後に履歴から巻き戻せば選び直せますが、地味に面倒でした。
だいぶ長くなってしまったのでキャラ別感想は別の記事にします。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
ちなみにメニュー画面で達成率が見られるのですが、まだ80%です。バッドエンド見たくない派なので・・・ハッピーエンド見て幸せな気持ちになった後にバッドエンド見て、記憶が上書きされてしまうのが怖くて。私みたいなタイプはバッドエンドから見るべきなのか?いやでもやっぱりまずは幸せになりたいじゃん!?永遠に100%にできない気がします。リンボルートでうっかり1回バッドエンドになってしまったけど、それ以外は回避しました。