乙女ゲームおたくの日記

主に乙女ゲームの感想を書きます。

ジャックジャンヌ 四周目感想 つんと澄ました激情家

ジャックジャンヌ、四周目は白田先輩こと白田美ツ騎(cv.梶原岳人)を攻略しました!

人形のように整った容姿が目を引く男子校の歌姫、白田先輩。
歌には強いこだわりを持っていますが、演技やダンスにはあまり意欲的ではない様子。
敢えて苦手な役を演じさせることで役者を伸ばしたがる根地先輩も、白田先輩には比較的負担の少ない役しか振っていません。(本人の中に「もっとできるようになりたい」という思いが芽生えだす冬までは)

基本的にぶっきらぼうな人ですが、(特に歌のことで)頼られれば、ぶつくさ言いながらも的確なアドバイスをくれるいい先輩です。
三年の先輩たちは優秀であるが故にできない人の気持ちは理解しづらそうなのに対して、白田先輩は歌以外では平凡寄りのためか、後輩たちが何につまづいていてどうしたら克服できそうなのかをよく理解しているように見えます。もちろん本人の観察眼の鋭さもあってのことですが。

美しい少女のような容姿から奇異の目で見られることも多かったであろう白田先輩は、他者への警戒心が強めです。
作中にはモブを含めて下品なことを言うキャラは登場しませんが、描かれていないだけで幾度となく不快な目に遭ってきたのでしょう。
しかし主人公に対しては、出会ってあまり経たない頃から、主人公の視線には嫌なものを感じないと言ってくれます。
何かと声をかけてくれたりお茶に誘ってくれたり、敢えて好感度を上げなくても、主人公のことはけっこう気に入ってくれている様子です。

根地先輩ルートでも触れられていましたが、主人公の希佐は相手が求める存在を自在に演じて相手を受け入れることができる「透明な器」の素質があるらしいんですよね。
白田先輩を不快にさせない態度がとれるのも、無意識に相手の希望に合わせる能力あってのことかもしれません。
作中で紙屋・百無以外のほとんどのキャラに好かれているのもそのためでしょうか。乙女ゲーム主人公としては最強スキルですが、どこか末恐ろしさも感じます。
全てを受け入れる彼女の魅力に最初に「あてられた」のはおそらく創ちゃんですよね。
Twitterのサジェストなんかでは「創ちゃん 恐い」と出たりするらしいですが(笑)ある意味では主人公が一番恐ろしい存在なのかも。ファム・ファタールの素質でもあるという。

話を白田先輩に戻します。
白田先輩はたぶん唯一、共通ルートの時点で主人公が女性であることに勘づく人です。
でも主人公が隠したがっている意思を尊重して、踏み込まないでいてくれます。
そうして一線を引きつつも、主人公が不安なときは温かく抱きしめて「お前が何者だったとしても僕は許す」と言ってくれる。共通ルート時点で主人公の最大の秘密を許容してくれるのです。
最初は毒舌な印象が強いですが、とても愛情深く誠実な人なんですよね。こりゃ人気出るわ。

とはいえ基本的にはクールな人なのかな?と思っていましたが、攻略してみるとまた印象が変わりました。
白田先輩、本人も自覚していましたが、実は人一倍熱く激しい感情を胸に秘めた人だったのです。
悔しさや怒り、悲しみもそうですし、喜びや他者への愛情、尊敬の気持ちも人一倍強い。とても純粋で繊細で、精神的に無防備な人なんだろうなというのが攻略してみての感想です。
深入りして傷つくのが怖くて、歌以外に無関心なふりをしていた白田先輩ですが、主人公を初めとしたクォーツの面々の影響を受けて変わっていったのですね。

個別ルートの内容をざっくりまとめると「みんなを支える主人公を支えるために白田先輩が奮闘するお話」でした。
白田先輩は共通の冬公演の時点で役者として一皮剥けているし、主人公の秘密も受け入れてくれてるし、個別ルートで何するんだろう?と思っていましたが、白田先輩自身の問題というよりクラスの問題に向き合っていく内容でしたね。
確かに、有望な1年が4人ほどいるとはいえ、優秀な3年が卒業すれば間違いなくクォーツのレベルは落ちるでしょう。残された後輩の中でも圧倒的な才能を持つ主人公が劇のクオリティを一身で支えることになるのも想像がつきます。
クォーツというクラスを愛し、主人公を愛する白田先輩がそれを黙って見ていられるわけもなく。主人公一人に担わせないために次期組長という慣れないまとめ役を引き受け、自分が歌うことを諦めてまで全体に尽くします。
もちろん自分の演技の稽古も全力です。そんな目まぐるしい日々の中、意地でも時間を作って主人公に歌の稽古をつけてくれる白田先輩。それだけで、どんな濃厚なラブシーンよりも愛を感じられる気がします。

最終的に彼は組長を務めつつ歌も歌い続けるという選択をしますが、一番大切なものを差し出してでも愛する人を活かそうとした彼はまさしく「器」でした。
主人公こそ「器」になる宿命を背負っているような存在なのですが、そんな彼女の「器」になろうという白田先輩の覚悟に凄みを感じます。
「みんなを守るあなたを誰が守るの」とヒーローに寄り添うヒロインのような圧倒的包容力というか。

ちなみに白田先輩ルート、いわゆる糖度は非常~に希薄です。
これまでスズくん、創ちゃん、根地先輩と攻略してきましたが、恋愛らしさが強い順に並べるとスズくん>根地先輩>創ちゃん>>白田先輩になるかなと思います。
キスまでいってるスズくんとプロポーズしてくれる根地先輩は強い。激重執着大爆発創ちゃんも、してることはハグまでですからね。
白田先輩ルートでは「好きだ」と言ってもらえるくらいで、愛し合う恋人同士特有とされる行為はほとんど描かれていません。にも関わらず、間違いなく特別な愛情を感じられる描写になっています。
性的なまなざしに辟易してきた白田先輩だから、性に因らない愛の伝え方を好むのでしょう。
もっとイチャついてるところが見たくないと言えば嘘になりますが、白田先輩らしいと思います。そして希佐は生粋の「器」なのでもちろん彼の愛し方にも応えられるでしょう。
この二人がいればクォーツの未来も明るいですし、文句ない終わり方ですね。

以上が白田先輩ルートの感想です。
攻略を終えて最初の感想は「エモっ!」だったのですが、エモいで終わらせたらブログを書く意味がなくなってしまう・・・!と思って必死でなんとか言葉にしました。まだまだ書き足りない気もしますが、これでも他のキャラ感想よりずっと書くのに時間がかかってしまいました。
好みで言えばやっぱり創ちゃんがナンバーワンですけどね。フィクションにおいては、立派な人よりも恋愛感情で周囲を振り回しまくる迷惑人間のほうが私は好きです。