乙女ゲームおたくの日記

主に乙女ゲームの感想を書きます。

ジャックジャンヌ 一周目感想 古き良き乙女ゲームの香り

ブロッコリーより3月18日に発売された『ジャックジャンヌ』。早速一人攻略しました!
感想を一言で言うと、このゲームめちゃくちゃ面白いです。早くも今年のベスト乙女ゲームが決まったかもしれません。
公式に「乙女ゲーム」とか「女性向け恋愛ゲーム」といったジャンル名は付けられていないので、どの程度恋愛っぽい描写が見られるんだろうと思っていたのですが、蓋を開けてみるとかなりしっかり乙女ゲームしてました。少年らしく初々しくて爽やかな恋愛模様が、演劇という要素と絶妙に噛み合っている作品です。

 

まずはあらすじとシステム面について書きます。
舞台は男の子だけが入れる演劇学校ユニヴェール。主人公は女の子ですがユニヴェールに強い憧れを抱いています。突然現れた学園長がなぜか協力してくれることになったので(この辺誰かのルートで理由は明らかになるのでしょうか)性別を偽って入学することになります。
基本はシンプルなパラ上げゲームです。演劇に必要な能力が六つに分けられていて、一日ずつどの項目を勉強するか選択します。(一週間単位で一つの項目を学習できる時短コマンドもあります)
育成ゲームにありがちな、これを上げたらこれが下がる、まずこれを上げればその他を上げるのに有利になるみたいな戦略性?はおそらく一切ありません。ただバランスよく選んでいけばよさそうなので簡単です。悪く言うと単調でもあり、ちょっぴりワンド(無印)を彷彿とさせます。
しかし、頻繁にメインストーリー関係のイベントが挟まれるので単調さはうまく紛らわされています。
土日は好きなキャラクターに会いに行くことができ、メインストーリーに関連した短い会話イベントが発生します。私は今回ひたすらスズくんを選び続けましたが、会話に使い回しが全くないことに驚きました。これは地味にものすごいテキスト量なんじゃ?作中で経過する時間はまるっと一年間で、飛ばされる期間も確かほとんどなかったと考えると土日って相当な回数あったと思いますが。スズくんがいない日もありましたが七、八割くらいはいた気がします。
攻略対象は六人で、六つのパラメータにそれぞれ対応しています。メインストーリー中の選択肢や土日のイベントで上がる好感度と、対応したパラメータ、両方の条件を満たすことで恋愛イベントが発生します。好感度は土日に会えばすぐ上がりますが、パラメータの方は意外と時間がかかります。条件を満たすためにパラ上げして、よし発生した!という時のちょっとした達成感はときメモGSやコルダといった古き良き乙女ゲームを彷彿とさせます。
上手な人がやれば途中まで股がけは可能なんでしょうか?でもせっかく土日会話が豊富に用意されているので全部見たいし、キャラの人数分は初めから周回することになりそうです。

 

次にシナリオについてです。有名なクリエイターが全面的に関わっていて見た目の華やかな作品はシナリオが残念なものという先入観があったのですが、今作はシナリオもかなり質が高いと感じました。
素人上がりも含めた集団が公演の成功という一つの目的のために取り組み、時に自分とタイプの違う役を掴めず悩んだり、時に劣等感で押しつぶされそうになったり、時に意見が合わず衝突したりしながら最後には全てが良い方向に転がり大団円に繋がる流れは、同じ演劇ものであるA3!を彷彿とさせます(彷彿とさせてばかりですね)。
ただ努力してうまくなるわけではなく、こういう理由でできなかったことをこれがきっかけでできるようになった、という感じで成長の理由に納得ができるように作られているところが良いと思います。
スズくんが持ち前の愚直さで一つ克服してはまた別の壁にぶつかってもがく様子や、自信なさげで一時期は本当に苦しそうだった創ちゃんがあるきっかけで輝きだす様子が生き生きと描かれています。一年生よりずっと経験豊富な先輩たちもまたそれぞれの問題を抱えていて、公演を乗り越えるたびに少しずつ克服されていき、クラスの絆も強くなっていくのを見ていると、良質な青春ドラマを見ているような感覚になりました。恋愛シーン抜きでも素直に楽しいと思えるほどです。

 

それなのに、さらに恋愛シーンも面白いのが今作でした。今回攻略したスズくんこと織巻寿々(cv.内田雄馬)のグッドエンドの感想をざっくりと書きます。少しネタバレあります。

 

主人公の隣で演じ続けたいけど、芽生えてしまった恋愛感情を舞台上で隠せないかもしれないと思い悩むスズくん。
一年最後の公演で、彼は主人公演じる少女に恋をする少年の役を演じることになります。
最初は「隠さなきゃ」という意識と衝突してぎこちない演技をしてしまいますが、なんやかんやあって自分の気持ちに正直に演じることに決め、それからは打って変わって演技がよくなります。
しかし、その後また別の問題が生じます。台本上では少女の台詞を遮ってキスをする場面で、スズくんは違和感を覚えるようになったのです。
違和感の正体は「自分だったらそんなことしない」。相手の言葉にはちゃんと耳を傾けたいし、キスはもっと丁寧にしたい。相手をもっと大事にしたい!と。(この場面、突然自分の恋愛観を開陳したスズくんに対する鳳くんと創ちゃんの反応がすごく面白くて好きです)
「脚本を演者が超える」瞬間ですね。別の公演でも白田先輩がこれを成し遂げていましたが、演劇がただ脚本の思惑通りに進むのではない「生き物」だと示すようなエピソードでどちらも印象的です。
主人公の側にも葛藤がありましたが、結局はお互いに自分の心に正直に演じたことで素晴らしいラブシーンとなります。その後改めて告白してエンド。私はどうやらベストエンドを逃してしまったようなのですが(パラ上げ不足?)これがベストエンドでもおかしくない、甘酸っぱく爽やかな結末です。
公演後に根地先輩に会いに行った時に聞ける、「織巻くんからキスしたように見えて実は・・・」という話がとても良かったです。
明るくて押しが強いように見えて、いつも相手を尊重して自分の意思を押しつけない、優しいスズくん。そんな彼の良さをしっかりと堪能できるシナリオでした。
鈍感そうなので、主人公の性別バレもうっかり着替えを見ちゃって・・・みたいなパターンかと思いきや言い当ててくるとは。しかも結構前から察していたとは。そんなところも素敵なギャップでした。

 

見られなかったベストエンドも気になりますが、次は創ちゃんを攻略しようと思います!覚醒後の、ちょっぴり毒のある感じが大変好みなので楽しみです。

黒蝶のサイケデリカ感想 乙女ゲームでは恋愛がしたい!

ブログを書くのが随分と久しぶりになりました。
先日、プレイしてみたかったゲームをまとめ買いしたのでまた感想を少しずつ書いていきたいです!

まずはオトメイトから2015年に発売された『黒蝶のサイケデリカ』。
漫画家の結賀さとる先生がキャラデザ・原画を務めたことで話題でした。
(例のトレス騒動どうなったんでしょうか。あれがあるからカラマリをプレイする気になれない・・・)
プレイ前の印象としては、主人公がボイス付きでしかもフルなんて珍しいなーくらいのもので、事前情報はほとんど仕入れずに遊び始めました。
黒蝶、スタンダードな乙女ゲームに慣れた身には新鮮に感じる点が多かったです。総合的には楽しかったのですが(飽き性の私がフルコンプできる時点で相当楽しめた証拠)萌えたかというと正直、微妙かな・・・

まずは特徴的なシステム面に触れたあと、シナリオ全体の感想、キャラ別感想と続けていきます。

 

・システム面
このゲームの最大の特徴の一つが、フローチャート形式のシナリオです。
プレイ中いつでもフローチャート画面を開くことができ、これまでに通ったシナリオならどこにでもジャンプできる便利仕様です。
バリアブルバリケードも一応フローチャート形式でしたが、ほぼ一本道になっていてシナリオのブツ切り感だけ強く抱かせるものだったのに対して、黒蝶のチャートはなかなか分岐が細かいです。
どこが分岐点か一目でわかり攻略しやすい反面、私のような飽き性がプレイすると、ルートを途中のまま放置してあっちこっちに飛んでしまい時系列がぐちゃぐちゃ&物語に没入できないという弊害があります。ありました。

また、今作にはミニゲーム要素があります。敵を狙って撃つシューティングゲームで、スコアに応じてもらえるポイントと引き換えにショートエピソードを見ることができます。
本筋のストーリーにほのぼの要素や萌え要素が不足している分、断片的なショートエピソードで補完する形式のようです。
フルコンプのためにはミニゲームと向き合わざるを得ないのですが、私はアクションゲームとシューティングゲームが大の苦手なので(敵が近づいてくると軽いパニック状態になってしまう)正直、苦痛でした。頑張って何度かやっていると安定してSが取れるようになりましたが、フルコンプした今、もう絶対にやりたくないです。
乙女ゲームのゲーム要素はパラ上げぐらいにしてほしいな。

 

・シナリオ全体の感想
シナリオの性質的にはネタバレ厳禁ですが、6年も前(!)のゲームなのでまあ、よかろうと思います。
謎の館に閉じ込められた少年たちと主人公は、実は一人を除いて全員幼なじみでした。
昔みんなで参加したサマーキャンプで不幸な事故に見舞われ、一人は死に、一人は昏睡状態に。
残された主人公含む三人は、年月が経っても「自分のせいで事故が起きた」「自分が臆病だったから助けられなかった」と悔やみ続け、後ろ向きになってしまっていました。
館は生と死の狭間の世界であるため、死んだはずのナツキ、眠り続けているはずのカズヤも当たり前のように一緒にいられたのです。
三人はやがて真実を思い出し、館から出たいという思いが揺らぎます。
館から出ることは現実世界へ帰ることを意味しますが、現実世界にいる以上、二人の友達を死やそれに近い状態へ追いやった事実から逃げられないためです。

このゲームの面白いところは「生と死の狭間」というどっちつかずの世界を舞台にしていながら最後は無情なまでに白黒はっきりつけてくるところです。
現実から目を背けるルートは即ちバッドエンド。現実にいない人、つまり故人であるナツキにはバッドエンドしか用意されていません。
同じく故人である黒幕とも幸せになることはできません(黒幕エンドでは生まれ変わりを示唆してはいましたが)
生きているキャラと、現実で、罪を背負いながらも前向きに未来に向かっていくことでしか幸せにはなれないのです。
普通の乙女ゲームなら攻略対象と銘打って出したキャラとは必ず幸せな未来を用意してくれるものですが、黒蝶は五人中二人もハッピーエンドの存在しないキャラがいます。なかなか思い切った作品ですよね。

ちなみに私は以下の順番でエンディングを見ました。
バッド→ベスト→現実世界→緋影→鴉翅→大団円→鉤翅→山都→紋白→カズヤ→タクヤ→アキ
おすすめ攻略順を調べてみると大団円と緋影を最後に持ってくる方が多いので、私は割と変則的な進め方をしたようです。
私はあまりおすすめに従わず好きに進めてしまうタイプなのですが(シャレマニでも2週目でメイちゃん行っちゃうし)物語を最大限に楽しめそうな順番を考えると、確かに緋影を最後にするべきかも。でもタクヤとアキのエンドを最後に持ってこれたのも後味さわやかで結構よかったと思います。
(個人的に大団円は蛇足だった気がします。死をなかったことにはできない、というのを貫いてほしかった。あったかもしれない未来として描くなら最後に現実に突き落としてほしかったです)

 

・キャラ別感想

紅百合 cv.中原麻衣
主人公。おっとりとしていて世話焼きな女の子です。乙女ゲーム主人公としては割と標準的なタイプですね。
彼女はかつて自分の提案のせいでみんなを事故に巻き込んでしまったことを悔やんでおり、自分を責め続けています。
そんな過去のせいで消極的な面もあるものの、基本的に人当たりがよく誰にでも優しいので、悪い印象はありません。
なにより声が可愛い。最初は、普段乙女向けコンテンツしか摂取してない私の耳にはちょっと可愛らしすぎるように聞こえたのですが、聞いているうちに慣れました。中原さんのぽわっとした柔らかい声が、主人公のおっとりとした可愛さを引き立てている気がします。
普通に、こんな声で喋る優しくて可愛い女の子が幼なじみだったらそりゃ好きになるわと思います。


緋影 cv.石川界人
冷静沈着で少し堅物な頼りがいのある男の子。主人公たちと一緒に閉じ込められた・・・と見せかけての黒幕でした。
館で長い時を過ごすうちに本来の目的を忘れ、人間への憎悪ばかりを増幅させてしまった哀しいモンスター的なキャラです。緋影ルートでは、主人公ならもしかして彼の心を解かすことができるかも・・・と思わせますがあくまで「できたかも」でしかない、なぜならもう「手遅れ」だから――というこのゲーム特有の無情な死生観を感じられるルートになってます。
彼はカズヤになりすまして紛れ込んでいましたが、振る舞いは特にカズヤに寄せてないところを見ると、主人公たちに見せた面は必ずしも嘘ではないのでしょうね。むしろけっこう素だったのでは?
やけに言動が堅いところも、一昔前の時代の人間だったと考えると腑に落ちます。うまくできてるなあ。

 

山都(タクヤ) cv.細谷佳正
ぶっきらぼうだけど実は面倒見がいい系シャイボーイ。
幼い頃、双子の弟のカズヤにちょっとしたイタズラをしますが、それが事故の遠因になってしまったことをずっと悔やんでいます。同じく罪悪感に苛まれている主人公にシンパシーを感じており、二人の関係は悪く言ってしまえばまさに「傷のなめ合い」。
第一印象はすぐキレる怖い子という感じでしたが、一度心を許してくれれば穏やかで優しい部分が目立ちます。最初イライラしがちだったのも、弟のいる病院に早く戻らなければという意識が残っていたためだと考えると仕方ないかもしれません。過去に囚われ続けるのも優しさの表れといえるでしょう。人間性は五人の中で一番マトモだと思います。

 

鴉翅(アキ) cv.柿原徹也
ノリが軽く天真爛漫なように見えて、言動の端々にトゲを感じる子です。私の最推しです。
最初は、人をからかうようなことばかり言うし山都とケンカするし苦手かもなーと思っていましたが、彼が幼なじみの一人でずっと主人公を好きだったと知ると印象が変わりました。
こういう、ノリは軽くて愛は重い的なキャラ好きなんです。普段おちゃらけてるだけに好意を素直に受け取ってもらえないパターンですよね。報われない不憫さと自業自得感が良い。
彼は例の事故の際、震え上がってしまい助けようとすることすらできなかった臆病な自分を嫌悪しています。
そんな自分を変えたいという思いもあり、残された三人の中では唯一未来に前向きになろうとしています。そして主人公とタクヤが傷をなめ合う様子を歯がゆく思っているようです。
主人公の心はナツキの死に囚われていますが、死人は恋敵としてある意味最強の存在。
彼にとっての現実世界は、向き合わなければならないものであると同時に主人公が絶対に振り向いてくれない世界でもあります。館から出たい、けど出たくない。そんな二律背反な感情を抱えるいらだちが、言動のトゲとなって表れたのかもしれません。
そんな人間としての弱さも含めて愛おしく見えるキャラですが、プレイ後に公式の人気投票を見てみると五人中最下位だったという・・・確かにまあ、自分勝手なところが目立つ子ではあるけど!そこが可愛いんですアキちゃんは・・・

 

鉤翅(ナツキ) cv.鳥海浩輔
穏やかで優しい、一歩引いて見守るお兄さん。・・・と見せかけてそうでもない!!そこが面白いキャラでした。
過去の事故で命を落としたナツキ。彼が生と死の狭間の世界にしがみつくのは、生き返って主人公との未来を作りたいという望みのためでした。そのために黒幕に協力し、みんなに嘘をついたりも。
いかにも「僕のことは忘れて幸せになって」とか言いそうな顔してるのに主人公を他の人に譲る気まったくのゼロという。個人的にこのゲーム最大のギャップでした。
その点この作品の世界はあくまで無情なもので、死者は蘇らない、未来など作れないという現実を突きつけてきます。彼とは二人で現実逃避するわびしいエンドしか用意されていないのです。
そういえばショートエピソードで彼がスマホを知らないという一幕がありましたが、あれは彼がスマホ普及前にこの世を去っていたからだったんですね!これを書きながらようやく気づきました。すごいなあ。

 

紋白(カズヤ) cv.松岡禎丞
登場時は敵か味方かわからない紋白ですが、その実は言葉少なながらも愛情深く健気な男の子でした。
事故で昏睡状態に陥った彼は、まさに生と死の狭間にいる状態。ナツキと共に館に閉じ込められますが、生き返るために黒幕に従うナツキと別れ、一人きりで館に潜伏していました。
彼自身は非常に人懐っこい性格なので、長い時を一人で過ごすのはさぞ辛かっただろうと思います。緋影が自分になりすましてみんなの輪に溶け込んでいるのを知ったときの絶望も計り知れません。
緋影の正体をバラして自分こそカズヤだと主張することもできたはずですが、昔のように楽しそうにしているみんなを邪魔することができなかったという紋白。ぱっと見自己犠牲キャラっぽいナツキよりもずっと自己犠牲的です。他のキャラはそれなりに利己的な面が描かれていますが彼には汚点らしい汚点がありません。
だからこそ人気投票1位にも納得がいきますが、個人的には多少みみっちいところある子の方が萌えます。

 

・総括
一言で感想を言うと「よくできたアドベンチャーゲーム」という感じです。
シナリオが進むごとに意外な真実が明らかになっていき、プレイヤー目線でのキャラの立ち位置が目まぐるしく変わって飽きさせません。
実際楽しかったからこそ、こうして久しぶりの感想記事も書くことができました。
でも、最初にも書きましたが・・・萌えたかというとちょっと微妙、というのが正直なところです。
そもそも話の主軸が恋愛ではないのです。恋愛がキーの一つではありますが、幼なじみというのもあって5人中4人は物語開始前から主人公のことを好きだし、恋愛の過程のときめきは楽しめません。
ですが「居心地のいい停滞から脱出するためにあがく生者たちの決意」みたいなのが印象的で、シリアスながらも最後には前向きな気持ちになれる良質な青春アドベンチャーゲームでした。

 

でも私はやっぱり・・・乙女ゲームでは「恋愛」がしたいな!

ビルシャナ戦姫 ~源平飛花夢想~ 感想①

9月17日に発売された『ビルシャナ戦姫~源平飛花夢想~』の弁慶ルートと教経ルートをクリアしました!
キュピパラもまだ途中だしハイカラもあるし・・・昔ほどではないにしても、オトメイトの発売ペースは速いですね。プレイが追いつきません。
正直、オトメイトに対しては(石が多めの)玉石混淆の印象がありますが、キュピパラとビルシャナは今のところけっこう楽しめています。
(ハイカラは買ってからまだ手を付けてませんが、評判が悪すぎて一周回って楽しみです)
キャラ別感想は別の記事に書くとして、まずは二人の攻略を終えてみての今作に対する雑感を書いていこうと思います。
ちなみに同じREDの歴史戦記ものである『十三支演義』は未プレイなので、比較しての評価はできません。

概要

主人公は源義経。源氏の御曹司として生まれ、ごく一部の近しい人間以外には女性であることを隠して育てられたという設定です。
栄華を極めておごり高ぶる平家に対して、反乱の機運を高める源氏。主人公は人並み外れた武芸の才を持ちながら争うことを好みませんが、運命に抗えず戦いに身を投じることになります。
攻略対象は幼なじみ・春玄、忠実な従者・武蔵坊弁慶、平家の猛将・平教経、平家の総大将・平知盛、兄・源頼朝の五人。その他サブキャラ四人にもエンドが用意されています。
公式のおすすめ攻略順は教経→弁慶→春玄→頼朝→知盛で、頼朝と知盛は二週目以降でしか攻略できないようです。
私は弁慶→教経の順で攻略していますが、確かに一週目は教経にしておいた方が良かったなと思います。おそらく真相的なものから最も遠い内容だと思うので。

共通ルート感想

浮ついたところの少ない、真面目な歴史もの乙女ゲームといった感じです。かといって歴史描写に時間を割きすぎることもないので、私のような歴史に全く興味がない人間でもそう退屈はしません。
発売前のSweet Princessに載ってた伊東Dへのインタビューでも、歴史が苦手な人でも楽しめます!というのをアピールしたがっている感じがしたので、そのあたりは苦心されたのかなと思います。

物語開始早々歴史が動き出し、不穏な空気がたちこめ出すので、シナリオの大半はシリアスです。
ただ、主人公と行動を共にする仲間たち(春玄、弁慶、佐藤継信佐藤忠信佐々木高綱)がみんな主人公大好きで、本格的な戦に突入する前のつかの間の平穏パートではかなりちやほやされます。そこが数少ない浮つきポイントですね。

(佐藤兄弟と高綱は主人公が女性であることを知らないはずなのですが。男子校の美少年を姫扱いするようなノリなんでしょうかね)

公式サイトで見られるプレイムービー「鎌倉での一時」でその様子を見ることができます。

ですがこんな感じなのは実際ほんの一時だけなので、ここだけ見て「終始このノリなのかな・・・」と購入を控えたりするのはもったいないと思います。

 

主人公の遮那王(義経)は、戦闘時は凜々しく毅然としていますが、通常時は穏やかで優しい性質が目立ちます。自分の意思と関係なく戦いに巻き込まれることに戸惑ったり、肉親の愛情に飢えていて会ったこともない兄を慕ったりと、幼気な少女としての側面が印象的です。

しかし武芸の鍛錬は幼い頃から欠かしたことがなく、腕に自信もあり、戦闘時の態度は勇ましいものです。そして実際に強い。

このアンバランスさが今作主人公の魅力でしょうか。ただ、リーダーらしい威厳は感じられないので、魅力的な人間ではあっても魅力的な主人ではないと思います。弁慶ルートをプレイしてみてそこは少し残念でした。

総合して、個人的には可もなく不可もない主人公です。

システム

キュピパラもそうでしたが、オートモード中にAボタンで文章送りができないのは地味に不便です。基本オートモードでながら見しつつ、気が向いたときだけボタンを押して速く読み進めたいのですが、そのためにはオートを一度解除しないといけません。
スキップは最速にしても遅いですが、「次の選択肢、もしくは未読箇所、章の終了箇所までスキップ」できる機能があり、そんなに時間がかからないので便利に使えます。

 

選択肢を選ぶと、その選択によって誰の好感度が上がったかが五色の花で表示されるのですが、どの色が誰を指すのかがわかりにくいです。
「情報」画面の名前の色と対応しているようですが、知盛と教経以外はキャラデザから予測不可能です。
また、好感度に加えて「武」「知」「優」の三つのパラメータが存在し、これも選択肢によって変動します。
どれかが低すぎたり、高すぎたりするとバッドエンド行きです。
誰を攻略するのにどのパラメータが必要なのかヒントがなく、バッドエンドになってもどのパラメータのせいでそうなったのかがわからないので、ちょっと難しいです。二週目以降は、任意の章から任意のパラメータで始められる便利機能が使えるので、数回トライ&エラーすれば切り抜けられるのですが。バッドエンド見たくない派の自分はちょっと心が折れそうになりました。
それに、わがままですが、再三パラメータいじった末にハッピーエンドにたどり着けてもちょっと虚しい気がするというか・・・。
ただ、多くの乙女ゲームでは悲恋エンドは好感度が足りなかった場合に行き着くものですが、それはそれで腑に落ちないというか、愛が足りなかったから悲恋になったの?と疑問に思ってしまうんですよね。
ビルシャナのように好感度以外のパラメータを採用すると、愛し合っているのに・・・的な悲劇を演出できるので、そこはいいと思います。
攻略のしやすさと奥行きのあるシナリオ分岐って両立は難しいよなあと思いました。わがままぬるゲーマーですまない。

主人公の名前ですが、幼名「遮那王」は固定で元服後の名前(デフォルトはもちろん義経)のみ変更可能という変わった仕様です。
遊郭もので主人公の源氏名が固定、本名のみ変更可能というのは見たことがありますが。(仲を深めてから初めて本名を明かします)
主人公にとって「遮那王」は親しみ深い自分の名前、「義経」は背負わなければならない源氏の宿命の象徴みたいなものだと思うので、どちらか変更可能にするなら幼名の方では?と思わないでもないです。

戦闘シーンの演出は結構こだわってる感じがしました。、立ち絵が目まぐるしく移動したり切り替わったり剣戟のエフェクトがかかったりして、キャラ同士が斬り合ってるように見えます。驚異的なスキップの遅さはおそらくこれのせいでしょうが。

 

個別ルートを抜きにしての感想はこんな感じです! 次の記事で弁慶、教経の感想を書こうと思います。

遙かなる時空の中で7 佐々木大和 感想 スパダリの素養を感じる


先日発売された、待望の遙か新作、7。
発売日に届きましたよ、A4サイズで厚み10㎝くらいのでかいボックスが!いろいろ特典がついているとはいえ、ゲーム1本でこんなに大きい箱は初めてです。まあ3万円以上もしたしね。
特典の、八葉のミニキャラが主人公の人形を持ってるアクリルキーホルダーがとても可愛いです。ステラワースで買ってよかった。
さっそく一人目の佐々木大和を攻略したので感想を書きます。

遙かシリーズは4、5、6のみプレイ済みで、6>4>5の順で気に入ってます。
今のところ7もかなり楽しくて、6>7>4>5の順になりそうです。

 

システムについて

戦闘はほぼオートです。キャラたちは勝手に相手を選んで攻撃してくれるので、プレイヤーは応援して味方の能力値を上げたり、回復したり、敵の属性に合わせてメンバーを入れ替えたりする操作だけ行えます。
体験版をやった限りでは結構難しい?というか、適度に手を加えないと負けてしまうなと思っていたのですが、ある程度レベルが上がればもう放ったらかしで十分でした。敵の強さを弱いにしていたからだと思いますが。ぬるいを通り越して冷水みたいなゲーマーとしては、戦闘に手がかからないのはよかったです。戦闘画面は古いRPG風で可愛らしく、見た目は6の戦闘より楽しいです。
(記憶が新しいのが6だけなので主に6との比較になりますが)6は怨霊を倒したりイベントを起こしたりするごとに時間が経過するため、倒せる怨霊や起こせるイベントの数にある程度限りがありましたが、7はそういう縛りがないのでよりレベル上げや同時攻略がやりやすそうです。
でも私は要領が悪いのでワンプレイワンキルでいきます(キルするわけではない)。

 

主人公・天野七緒について

七緒は現代日本で育った女子高校生ですが、生まれは戦国時代(に似た異世界)、それも父は織田信長でした。戦火から逃れるために龍のウロコの力で時空を越え、天野家に拾われて普通の女の子として育てられたのです。
出身地は異世界だけど育ちは現代というあたり、4を彷彿とさせますね。個人的には、何の変哲もない少女が召喚されるより納得がしやすいので好きです。
性格は特に個性強烈というわけではないですが、歴代の主人公と比較すると脳筋ポジティブな面が目立つ、見ていて気持ちがいい子ですね。現代では薙刀部の稽古に精を出していたという設定なので、怨霊と戦うことへの抵抗もあまりなく勇ましいです。

 

八葉について

今回の八葉も個性豊かで魅力的です。キャストは5や6からの続投ですが、それぞれのキャラにマッチしていると思います。
攻略したのは大和だけですが、現時点での印象を書いておきます。
真田幸村(cv.寺島拓篤)
 真面目で明朗で心優しく、かなり感じのいい青年です。こういう素直にいい奴なキャラに最近弱いので、ぜひ攻略したい。しかし昔はワルだったらしく、気が昂ると荒くれ者に変貌する面もあります。ちょっと不安になる要素ですが、ぜひ攻略してもっと深いところを知りたいですね。実直な彼に寺島さんの声がよく合っています。

・天野五月(cv.鈴村健一)
 穏やかで優しくてちょっと頼りないけど、血の繋がらない妹である七緒を誰よりも大事にしてくれるお兄ちゃんです。乙女向けコンテンツにおける兄キャラってやばい奴も多いのですが、五月は今のところちょっと心配性なくらいで普通の良いお兄ちゃんな感じ。ただ、双子の兄に対する劣等感を見せる場面では彼の闇も垣間見えました。ぜひ攻略したい。鈴村さんの優しい声の演技が良い。

宮本武蔵(cv.阿部敦)
 常にポジティブで元気いっぱいな男の子です。今のところ陰を全く見せないので、彼のシナリオがどんなものになるか予想がつきません。気になるところといえば「宮本武蔵」は若いうちからすごく強かったはずなのに(詳しくないのでわかりませんが)彼は一生懸命鍛錬してもなかなか試合に勝てずにいるという点。攻略すれば明らかになるのでしょうか?ぜひ攻略したいです。阿部さんの活発な少年ボイスは違和感0です。

黒田長政(cv.立花慎之助)
 一国一城の主なだけあり、プライドが高く高慢で、神子に対する不信感を最も明確に示してきます。彼は甘さを嫌うので、私が心のままに選択肢を選ぶと大抵彼の好感度が下がります。でもこういうタイプ、乙女としてはぜひ落としたいですよね!攻略するのが楽しみです。人気が出そう。立花さんの声は高慢ちきなキャラに最適だと思います。

直江兼続(cv.竹本英史)
 八葉でおそらく最年長の兼続さん。掴みどころがなく、ある意味長政さんよりも手強そうな人です。彼のルートもどんな内容になるか想像つかないなあ。ぜひ攻略したい。竹本さんの声はやっぱり、知的ながら色気も感じさせる美声ですね。智将キャラなのに喋り方が「〜だぜ」なのも軽妙洒脱な感じがして魅力的です。

阿国(cv.四反田マイケル)
 見た目で男性と見抜ける人がそうそういないほどのたおやかな美貌を持つ舞手の阿国。話し方はいわゆるオネエ口調ではなく、「〜だよ」「〜なのさ」みたいな蓮っ葉な姐さん口調。地味に珍しい気がします。争いを好まない性格で、七緒が攻撃を受けると「可哀想に」というようなことを言ってくれたりして優しいです。けど萌えられるかどうかは不明だな。攻略してみないと。四反田さんのなよやかな声がよく似合います。

柳生宗矩(cv.安元洋貴)
 不器用クールな密偵、宗矩さん。自分のことをなかなか語らないため、今のところかなり情報が少ないです。歴史的には、あの有名な柳生十兵衛の父親らしいですね。忠誠心の厚いストイックなキャラといえば、愛と使命の板挟みになるシチュエーションが鉄板ですが、彼のルートはどうなのでしょうか。ぜひ攻略したい。安元さんのクールな低音ボイスは誂えたようです。

こんな感じで、どのキャラも攻略したいと思わせる要素があり魅力的です。2人目は五月お兄ちゃんを攻略するつもりですが全員楽しみです。
次は大和ルートの感想を書いていきます!
         
・佐々木大和(cv.岡本信彦)

 f:id:junuw:20200702001253j:plain


七緒とは幼なじみの、ぶっきらぼうで気怠げな男の子。ポジション的にもなんとなく4の那岐を彷彿とさせます。那岐好きなので、第一印象からまず大和を攻略したいなと思っていました。
強い霊感の持ち主である大和は、幼い頃から普通の人には見えないものが見えています。そのせいで気味悪がられたりもして、疎外感をずっと感じてきたようです。父子家庭の子ですが父との仲は険悪で、それも彼の孤独を深めています。同じく霊が見える五月と、見えないけれど分け隔てなく接してくれる七緒にだけは彼も心を許しています。
異世界出身で神子である七緒と、七緒の兄であり星の一族でもある五月には異世界に行く十分な動機がありますが、大和は特に因縁もないのに二人についていく形で異世界行きを決めます。ちょっと軽いんじゃないかと最初は思いましたが、二人の他に頼りにできる人もおらず、夢中になれるものもない世界にこだわる理由もないと考えれば自然なのかなと。
そんなわけで大和くん、素直でないながらも、序盤から七緒に対しては打ち解けた様子で接してくれます。いつも怠そうにしてる子が自分には何かと構ってくれるって、気まぐれな猫が懐いたみたいでベタだけどやっぱり嬉しいですよね。歩き疲れたり、現代に来てはしゃぐ八葉の面々に振り回されたりして文句垂れる姿も可愛い。 お人好し兄妹に挟まれる常識人な感じも可愛い。
岡本さんの演技がまたいい味を出しています。キャラの方向性は大分違いますが、怠そうな喋り方という意味では『ピオフィオーレの晩鐘』の楊っぽさも少し感じる演技です。

そんな大和くんですが、七緒と五月以外の八葉のメンバーになかなか心を開こうとしません。みんなに認められたいというようなことを言う割に、みんなからの好意や信頼を素直に受け入れられず距離を置いてしまいます。七緒は、そうして孤立する大和のことを放っておけずに追いかけます。
この場面の七緒が良いんですよね。強引に迫るでもなく、知り抜いた故の気安さでさらっと、すっと相手の領域に入り込む感じが。大和の態度の裏の「自分から心を開いて拒絶されるのが怖い」という心を七緒はあっさりと見抜くのです。
そして頬をつねって喝を入れます。(ネットの広告で使われてるスチルですね)高校生男女らしいじゃれあいが可愛らしく、好きなイベントです。

無事に龍脈を正し、(使命を果たせば消えるはずの八葉の力がなぜが消えないけど)一件落着!というところでスタッフロールに入り、まさかこれで終わりか!?と思ったのですが、どうやらスタッフロール後が本番だったようです。2部構成なんですね。
大元は絶ったはずなのになぜか消えない怨霊の謎や、大和の父との軋轢に話が及んでいきます。さらに恋愛面でも、1部では七緒に対する信頼とほのかな(本当にほのかな)独占欲を見せるのみだった関係が恋に発展していきます。この展開の緩やかさがネオロマらしい気がしていいですね。
「大和のことは私の方がよく知ってる」的なことを言われた大和が後で「七緒は真顔だとキツく見える顔だから笑顔の方がかわいい」「知らないの? お前も自分のこと全然知らねえじゃん」的なことを言い返す場面めっちゃ萌えました。(メモしてないので台詞超うろおぼえ)
七緒、そういう顔立ちって設定だったんですね。真顔だとキツくて笑顔がチャーミングってモーニング娘。の北川莉央ちゃんみたいな感じ?(ハロオタなので唐突にハロメンで例える)

途中、色々あって大和は陰の気やら力への妄執やらに呑まれそうになりますが、七緒が根気よく寄り添い続けたことで「仲間のみんなと一緒にいたい」という本心をやっと打ち明けてくれます。
そこからはもうとんとん拍子。ラスボス感のないラスボスをさくっと倒して痴話喧嘩オチにずっこけて、お待ちかねの恋愛シーンです。
大和は一度覚悟さえ決めれば、けっこう照れずに愛を囁くタイプでした。うろたえる七緒。関係が逆転したようで面白いです。
八葉の務めを果たした大和は父や現世と決別して異世界で生きることを決意しますが、愛しい七緒のことを引き止めようとはしません。
「側にいなくても心のよりどころにしているから」というようなことを言ってくれますが、それはもうある意味「愛」の最高位では? 高校生にしてそこまでたどり着いちゃう? と思いました。
七緒の存在を心の支えにはしても依存はしない。何気にすごく人間のできてるいい男だよなあ。すごいよ。
剣の道を極める旅に連れて行ってくれないのは寂しいけど、SNSの書き込みみたいなゆるい内容のかわいい手紙をそれなりにこまめに出してくれるようなので許します。

 

 

特典CDを聴いてみたらクラキミ愛が再燃した話①

2009年にD3パブリッシャーから発売された、脱出サスペンス乙女ゲーム『暗闇の果てで君を待つ』。
もう11年も!前の作品ですが、お気に入りの乙女ゲーム十選を決めるとしたら間違いなく入れるくらい私はこの作品を愛しています。
当時買ったのは通常版だったのですが、一人暮らしを始めるにあたってハードもソフトも実家に置いてきてしまったので買い直すことに。
その際、特典付きの初回版を見つけたのでせっかくだからと初回版を買ってみました。

しばらく放置していて、今になって特典のインタビューCDとドラマCDをようやく聴いたのですが、もう、プレイした当時の思い出や熱が昨日のことのように蘇ってきて大変です。
今更にもほどがあるし自己満足とはわかっていますが、特典CDの感想と思い出語りをしようと思います。

まずはインタビューCDについて。攻略対象6人がインタビューを受け、家族構成や好きな食べ物や学校生活なんかについて話してくれるCDです。

 

葵水央(cv.高橋広樹

f:id:junuw:20200613035732j:plain


そのドジっ子ぶりと純真無垢さから、ファンの間ではみおたんという愛称が定着していた葵先輩。
いかにも生真面目な生徒会長、という感じで礼儀正しく綿貫さんのインタビューに答えています。
名前の漢字を説明するとき、わざわざ「水曜日の水」って言うところがさりげなくて良い!と思いました。(みおたんは過去に溺れかけてから水が大の苦手という設定)
この部分に限らず、インタビューCDだけ聴くと至って普通の高校生たちのインタビューに聞こえるようになっているのですが、ゲームの内容を知った上で聴くと彼らの秘密に関係する台詞がちりばめられていてとても面白いです。乙女的な萌えは皆無ですが。
先にこれを聴いて、あの台詞はこういう意味だったのか!と知るルートも楽しそうでいいなあ。
他には、最後の晩餐に何を食べたいか聞かれ、焼いたサンマにかぼすを添えたものと、豆腐とネギの味噌汁が食べたいと答えます。彼としては普通の食事を挙げたつもりで、最後の晩餐だからとごちそうを食べたいとは思わないようです。
確かにいかにも豪勢な食事ではないけど、普通の食事としてそういったものを挙げられる時点である程度恵まれた環境の持ち主であることは間違いなく、でもみおたんはそのことをきっと自覚していないでしょう。
基本公正でまっとうな人だけど、恵まれて育った故の無自覚な傲慢さがあるという、作中で取り上げられる一面がこのCDでもうっすら嗅ぎ取れます。
彼は作中屈指の面白キャラでもあります。公式サイト等ではメインヒーローのように扱われていますが、作中で頼りになる場面はほぼなく、潔白なのにみんなに疑われて監禁されたり、その状況で暢気にティータイムを楽しみ出したり。
彼のルートで最も盛り上がるのは信じていた相手に裏切られて溺死させられかけ、
裸でシーツにくるまって涙を流したところを主人公に抱きしめられるシーンという。みおたんはヒロイン、などと言われていましたね。メインヒーローでこれは本当に斬新だったと思います。


桜葉克己(cv.岩田光央

f:id:junuw:20200613035648j:plain

 

主人公の幼なじみでパン屋の息子で、明るく人懐っこい性格の桜葉くん。私の最推しです。
しかし当時から思っていましたが、今聴いてもおじさんみたいな声だなーと思います。逆にその辺の普通の男子っぽさが出ているとも言えますが。
家族のことを聞かれ、桜葉くんは7年前から姉が行方不明になっていることを話します。綿貫さんは思わず謝りますが、桜葉くんは気を悪くした様子を一切見せず、情報が入ったら知らせてほしいとだけ言います。
しかしゲームをプレイすればわかるのですが、彼は今でも姉が最後に残した留守番電話を消せずにいて、時折聞き返すほど強く姉のことを思っています。
(留守番電話の録音って保存期限あったような? というのは少し気になるけど)
どこかで無事でいてほしいと願いつつ、恐らくもう命はないだろうという予感に怯えつつ、昔も今も何もできないでいる自分を心底歯がゆく思い続けている桜葉くん。
でもそういった悲しみ、怒りの感情を自分の中だけに封じ込め、人前では脳天気に振る舞ってみせる桜葉くん。
今回の事件に遭わなかったら(姉の手がかりがつかめないままだったら)主人公にすら一生打ち明けることはなかったのかなと思うと、もう・・・もう・・・あまりにも健気で・・・愛。
廃校に閉じ込められた状況でも桜葉くんは、主人公を不安にさせまいと色々と気を遣ってくれます。自分も内心は恐怖に震える普通の男の子なのに・・・そんなところも愛。
主人公もただ支えられているだけではなく、大事な場面では遠慮する桜葉くんの手を強く握って励まし「怖い」という本音を引き出せる女の子です。
あの歯車の罠解除のシーンは本当に大好きです。作中屈指の名シーンだと思います。

 

風野太郎(cv.藤原祐規)

f:id:junuw:20200613035854j:plain

色々とヤバい事情を抱えた家の子で、両親と妹を食わせるために金策を巡らす銭ゲバ高校生・風野太郎くん。
当時の2ちゃんねるなんかでは「アフィ」と呼ばれていた気がします。乙女ゲームの攻略対象がアフィブログをやっているというのは衝撃だったようです。
インタビュー冒頭では、太郎という自分のシンプル過ぎる名前が気に入らないとこぼします。
その流れで妹の名前を聞かれるのですが、風野くんは「個人情報だから」「自分のならいいけど妹のは言えない」と突っぱねます。兄の風野くんが名付け親ということで「ネーミングセンスに自信がないから言えないんだろう」と煽られますがそれでも言いません。
それまでは割とノリ軽めで、生意気ながら人懐っこそうに見えた(聞こえた)風間くんがここで初めて警戒心を露わにします。この場面から彼の賢さや他者への不信感の強さ、妹への愛情が窺えますよね。
さらに、風野くんは本来もっといい高校に受かっていたものの家庭の事情で入学金を払えず、今の高校の三次募集に滑り込んだことが聞けます。
この設定、作中で言ってましたっけ? 覚えがないのでこのCDだけの情報でしょうか。
両親の宗教や妹の病気についてはインタビューで語られませんが、彼の家庭の複雑さはこの情報だけでなんとなく察することができます。
風野くん、そんなわけで金のためならマジで手段を選ばない男です。ルートによってはみおたんやほにゃみんを恐喝するしエンドによっては逮捕されます。
今回のことがなくても既に似たようなことはやってそうだし、普通に悪人なんですが、一方で彼は弱者(と見なした相手)にはとても優しいんですよね。
宗教にハマった両親には呆れていますが、心の弱さ故に搾取される彼らをそうそう見捨てることもできないようです。何の罪のない妹に対しては一層慈悲深く、何に代えても守りたいと思っています。
廃校に閉じ込められた中で主人公は唯一の女子ですが、さぞ心細いだろうと思ってくれたのか、風野くんは最初から主人公には優しく接してくれます。誰か一人を信用するなら主人公、とも言ってくれるし。
この人数の男相手に女一人で大したことはできないだろうという侮りもあったかもしれませんが、この状況で最初から一定の信頼を置いてくれるのはやっぱり心強い。
なので私は最初、風野くんから攻略したんですよね。明かされる事情のハードさや彼の年齢に見合わないシビアな人生観に「こんな乙女ゲームもあるんだ・・・!」と衝撃を受けたものです。
悪人ながらも芯の通った風野くんは、他の乙女ゲームではなかなかお目にかかれないようなキャラでとても魅力的です。クラキミは公式人気投票はやってませんが、やってたら1位は風野くんなんじゃないかな。

 

では、長くなってきたので続きは別の記事にします!

 

オランピアソワレ ヒムカ・朱砂ルート感想と総評

また少し間が開きましたが、ヒムカと朱砂を攻略したので感想を書きます!
ヒムカのルートは他の4人を攻略した後、朱砂のルートはヒムカを攻略した後でないと入れないようになっているだけあって物語の核心に迫る内容になっています。あまり詳細な内容は書きませんがネタバレを含みますのでご注意ください。

ヒムカ(cv.堀江瞬)

クールで無機質そうなビジュアルですが、その実は憧れのオランピアに声をかけられてしどろもどろになってしまうようなピュアでかわいらしい少年なヒムカきゅん。
彼は島民たちに弔い屋と呼ばれており、島で亡くなった人を弔う仕事をしています。
この世界では、死者は弔い屋の特殊な力によって「晶」という色とりどりの石に変えられ、その石は様々な用途に利用されます。
死者を晶に変える力は拔と呼ばれますが、拔を使えるのは現在はヒムカと璃空、そしてオランピアの3人だけとされています。オランピアが拔を使えるのはごく一部の人しか知らず、璃空に弔ってもらうには高額の金がかかるため、島の死者はほとんどヒムカが弔っているようです。

生きている人間をむりやり晶にすることも可能ですが、禁忌とされています。
このルートでは、ヒムカにその禁忌を犯した疑いがかけられますが、彼と関わるようになって彼の優しさを知ったオランピアはヒムカの所為ではないと考えます。
実際犯人は他にいて、その犯人にはイザナミという女神がバックにいて、イザナミの狙いはアマテラスが蘇るための器であるオランピアでーー
という感じで、物語がなんだか神話じみてきます。作品のキャッチコピーもそういえば「これは辿りついていたかもしれないもう一つの神話の物語」でしたね。これまで攻略してきた4人のルートではあまりそういう要素が出てこなかったのでここにきて雰囲気が変わったように感じました。

このルートでは、謎だらけだったヒムカの正体が明かされます。
彼の正体は、天供島で神のように崇められている卑流呼様だったのです。
このゲームは設定が設定なので、両思いになったからといってすぐに結ばれたりはできず、どのルートも何かしらの障害に阻まれますが、ヒムカルートにおける障害は彼が人間でない故に自分をオランピアの交配相手として相応しくないと考えていることでした。
そのために二人は両思いにも関わらず思い悩みますが、最終的にはオランピアの願いによって無事に人間の体を手に入れて結ばれる感じです。

ヒムカきゅん、容姿はもちろんオランピアのことが好きすぎて挙動不審気味なとこも可愛いんだけども、私はいわゆる「人外」に萌えるのは難しいなあと再認識するルートでした。
幻奏喫茶アンシャンテも一応全員攻略しましたが、いまいち萌えなかったんですよね。人外好きじゃないならなんでキャッチコピーが「異世界、人外、喫茶店。」のアンシャンテ買った?と思われるかもしれませんが、新作は全て押さえたいのが乙女の性。(あとどうでもいいかもしれませんが、アンシャンテで魔王や妖精が「人外」を自称するの違和感ありませんでしたか?人外という呼び名は人間中心の人間目線のものでは?)
でも神サマなんて呼んでない!の碧依は結構萌えたんだよなあ。なんでだろう?主人公の生活に寄り添いすぎて感性がかなり人間に寄ってたからかな。あまり浮世離れしていると萌えにくいのかもしれません。

あと、このゲームはやっぱり性的な描写が多く、ヒムカきゅんのルートも例外ではないのですが、興奮するのもちょっと難しいなって…時貞きゅんでギリギリだったからな…外見年齢17歳以上はあってほしいですね。できれば20歳以上。ヒムカきゅん15歳くらいに見えるので…。神様なので実際は何十年も何百年も生きていると思いますが。

あとこのルートにおける柑南の悪役っぷりがよかったです。歪んだ島で歪みを抱えて育った柑南。オランピアへの強い悪意もそれだけ彼女に心を乱されているということですよね。ビジュアルも声も好みなのでぜひ攻略させて欲しかったな…むしろこういう男を恋に落としてなんやかんやで改心させられたりするのが乙女ゲームの素晴らしいところじゃないですか?


朱砂(cv.松岡禎丞)

最後はメインヒーローの朱砂!真打の名に恥じない内容のルートだったと思います。
朱砂、コトワリの仕事が忙しいからか他のキャラのルートではやや影が薄い気がするので(玄葉はよく黄泉に現れるので他ルートでも出番がある印象)、本人のルートでようやく向き合えたような感じがしました。それはそれで真打感があっていいと思います。

朱砂はオランピアと出会ったばかりの段階から、彼女の気の強さやこの島を変えたいという意思に惹かれていたようで、朱砂ルートの恋愛模様はどちらかというとオランピアが攻略されている感じでしたね。
表情を変えずに淡々と物事に対処する姿勢から作中では鉄仮面と呼ばれている彼ですが、接しているうちに意外と融通も効くし心優しく公正で正義感の強い性格であることがわかってきます。
オランピアの方は、初対面時の朱砂の態度が無神経に見えたために「こんな人好きになるものか!」と意地を張りますが、そうでもないとマッハで恋に落ちてしまいそうなくらいにはいい男です、朱砂は。

あと声もいい!!シャレードマニアクスのソウタくんがきっかけで松岡禎丞さんを好きになったのですが、あんまり頻繁に乙女ゲームに出ない方だと思うので今作でたくさん声を聞けて嬉しかったです。大人を演じていてもどこか少年らしさを残している声なので、松岡さんがクールな朱砂を演じることで彼の根底の青臭さ、愚直さみたいなのが窺えるのがいいと思いました。

意地を張っていたオランピアも結局朱砂の魅力には逆らえず、デートを重ねるうちに恋に落ちていきます。
社会的立場も悪くない朱砂との恋愛に障害はないように思えますが、そうはいかないのがオランピアソワレです。
朱砂ルートにおける障害は、朱砂がスサノオの生まれ変わりであること。
このあたり、設定が複雑で私はよく理解できていないのですが…どうやら、朱砂はスサノオとしての運命を背負っており、このままだとオランピアを殺すことになるとのこと。その運命に抗えるのかというのがこのルートの肝のようです。
最終的には意思の力で神として生きる運命を拒否し、人として愛を勝ち取ったという感じです。

問題が解決する前、瓦版を真に受けてオランピアを迫害する島民から逃げた先の隠れ家で二人は初めて性交渉に及ぶのですが、オランピアを押し倒す朱砂の焦れた様子が色っぽいです。焦れていても、頑になっているオランピアを口説いて同意を引き出してから実際に事に及ぶあたりが朱砂だなと思います。現代のスパダリ。
髪キャンが発動しなかった(髪色が変わることを知っていたため動揺しなかった)のにもメインヒーローの風格を感じました。

 

総評

これで一応、全キャラ攻略完了しました!!(バッドエンドはやっぱり見てませんが…)
好みだった順に並べると

璃空時貞朱砂玄葉ヒムカ
って感じです。時貞くんが最推しになると思っていましたが、最初に攻略した璃空が後からじわじわ来て今作の最推しに。他のキャラのルートでも、無茶するオランピアを必死に止める(けどあっさり無視される)璃空がやたらと可愛く見えるのです。
生真面目で島のしきたりに従順だった璃空ですが、オランピアの影響で変わっている…というか、本来の公正を重んじる心を呼び覚まされている感じが他のルートでも読み取れるのも良かったです。

 

最後に今作の良かった点、不満だった点をまとめて終わります。
良かった点
・絵がいい
さといさんの絵柄、アジアンファンタジーにぴったりですね。言うまでもないですが本当に絵が素敵でした。立ち絵が綺麗なだけじゃなくスチルでも崩れないし。
あとBGMもいいと思います。幻想的でドラマチックで、ストーリーの雰囲気を邪魔しないけど耳に残ります。タイトル画面の曲が特に好き。壮大でワクワクします。
・一本筋が通ったシナリオ
どのルートでも、島の制度に疑問を抱き、変えていきたいというオランピアの目的は変わりません。
そしてどのルートでも、宿命を背負わされても人間らしく生きることを諦めない人々の物語という点が一貫していると思いました。
(璃空ルートでは青を相手に選んで子を残すという宿命、時貞ルートではマレビトとして島に奇跡をもたらすという宿命…といった感じで)
そのため、全てのルートをひっくるめて一つのゲームとして完成度が高いものになっています。

不満だった点
・サブキャラの掘り下げが物足りない
このゲーム、サブキャラがけっこう多いです。そのおかげで世界の奥行きは増しているのですが、せっかく面白そうなキャラクターが揃っているのに一人ひとりの掘り下げが物足りないのが少し残念です。
前述したように柑南は攻略できないのがもったいないキャラクターだし、
海浬も、作中ではオランピアにデレるまでいきませんでしたが、明日羽のことを彼なりに大事にしているところから人間らしい情を感じるので、もっといろんな面を見てみたかったなあ。
嫌われ役の薙草も掘り下げようはあったと思います。あのザ・天供島の貴公子が実際どのような過程を経てできあがるのか興味あるし。

・全体的に下世話
ある意味神話らしい世界観と言えるのですが、子を残すことがとにかく重視される世界でみんなカジュアルに結婚や生殖の話をします。そろそろ相手見つかった?とか早く子どもの顔が見たいな、レベルのことはしょっちゅう言われます。
乙女ゲーマーの年齢層も上がってきていると思われるので、子作りをせっつかれるシチュエーションをフックにして感情移入を誘おうとしたのかもしれませんが、それにしてもちょっとうんざりしてしまいます。
自由な結婚ができない島の制度は作中で改めるべきものとされていますし、実際エンディング後に改められていくと思われます。しかし男と女は番うもの、子どもは当然産むべきもの、という価値観については一切批判されることはありません。作中でオランピアが階級制度に反対する根拠も、愛し合う男女が番になれないのはおかしいというのが大きいように見えます。
オランピアは大団円の朱砂ルートで神になる運命を回避しますが、貴重な白として子を残さなければならないという要請には全く疑問を抱かないまま終わります。どちらも生き方の押し付けという意味では同じではないかと思いますが、後者はオランピア自身の希望とマッチしていたために疑問を抱かなかったのでしょう。
なので色による階級制度が撤廃されても、結婚したくない人、子どもを産みたくない人にとってはまだまだ天供島は居心地が悪いだろうなーと思います。自分がそういうタイプなのでなんだか気になってしまう(乙女ゲームは大好きだけど、いやだからこそ?現実の恋愛に興味が持てないし、子どもも欲しくない)
女性の地位向上についても発展途上であることは珠藍大姉関係で触れられているし、まだまだこれからということでしょうけどね。
別に結婚しなくてもいい、子どもを産まなくてもいいという考えが現代と同程度に支持を集めるようになるまで何千年かかるのかな。

 

 

 

 

オランピアソワレ 玄葉ルート・縁ルート感想

ちょっと間が開きましたが、引き続きオランピアソワレの感想を書きます!

(好きなものから食べるタイプなので、どんな良ゲーでも進むごとにモチベーションは下がっていってしまう…)

 

まずは玄葉(cv.杉田智和)ルートの感想を。

玄葉は文句なしにかっこいい男でした。

 

彼は優秀な医学博士で、ノリが軽いところがありますが非常に面倒見がいい男性です。

純真無垢なオランピアを何かとからかいますが、自分と同じく階級制度に反発する彼女に信頼を寄せ、やがて愛するようになります。

 

玄葉、飄々としてクレバーで常に堂々としていてみんなのお兄ちゃんで…非の打ち所がないっ。なさすぎます。もし現実にいたら憧れるに違いありませんが、私は欠点がはっきりしているタイプが好きなので、ド堅物の璃空やちょっと意気地のないところがある時貞の方がやっぱり萌えます。

 

オランピア含む「白」には特殊な性質があり、魂の半身(運命の相手みたいな意味)と性的接触をすると一時的に髪が相手の色に染まります。

これまで攻略してきた璃空、時貞のルートでも、いざイチャつきだした時にオランピアの髪色の変化に相手が驚き、色っぽい空気が一旦途切れてしまう場面がありましたが、玄葉ルートも同様でした。今のところどのルートでも本当にここだけは判で推したように同じなので、3人目ともなるとちょっと面白くなってきます。

Twitterでこの流れを「髪キャン」と呼んでる方がいて言い得て妙だなと思いました。

しかし前の2人と違って「黒」という忌み嫌われる色を持つ玄葉は、自分の色に染まったオランピアを見て段違いのショックを受けたようです。行為を中断してオランピアの前を去ってしまいます。

玄葉は元々「黄」だったものの薬で「黒」に変化した過去を持っており、島の住人が「黒」にどんな酷い仕打ちをするか身をもって知っています。自分が触れたことで黒く染まったオランピアを見て、自分はこれ以上彼女に関わってはいけないと考えます。

その後、強引な恋敵・薙草の登場で自分の気持ちに正直にならざるを得なくなるのですが。

 

オランピアを手篭めにしようとした憎き薙草を、それでも救わないではいられない玄葉はかっこよかったです。

患者を選別しない、救えるなら救う。医者としての矜恃ですね。

 

 

次に湯屋の主人・縁(cv.内田雄馬)ルートの感想を。

本人がいないところでデレるタイプとは予想外でした。

 

第一印象では蝶毒のお兄様的な浮草のようにたゆたう系男子(浮草のようにたゆたう系男子?)でしたが、同胞を滅ぼした仇に対する怨念や、オランピアへ向ける愛情の重さからして結構な激情家でした。

人の心の機微に聡そうなのに、オランピアが縁にベタ惚れになった後も彼女の想いを感じていない、感じても信じていないようなところがあります。

オランピアがはっきり言葉にしてようやく伝わるのですが、そのとき縁はオランピアが去った後に一人で照れます。かわいい。君そういうキャラだったのか!

幼馴染と言ってよいかは分からないのですが、オランピアソワレにおける幼馴染枠は縁でした。それも予想外でした。

 

終盤で、縁が仇と目している珠藍大姉・叉梗と対峙するのですが、結局大姉の夫が犯人だったとわかります。他のルートでは不明だった二人の事情も知ることになります。

この後、人質にとられた縁を助けるためにオランピアが取引を持ちかけますが、この場面、ここぞとばかりに要求を並べまくるオランピアがたくましくて好きです。

 

玄葉ルート・縁ルートの感想は以上ですが、これまでのプレイで感じたことを並べてみます。

 

・クリア後にタイトル画面に戻ると、攻略したキャラのボイスが流れる仕様になっています。一回きりかと思ったら、その後も起動するたびに攻略済みの中からランダムで流れるっぽいです。何回でも聞けるのはいいけど、攻略直後に一度だけ聞ける方がありがたみが増すような気も。

(ゲーム中には説明がないけどこれは陰陽ボイスというらしく、設定でオフにもできます。バッドエンド見ない派なので隠のボイスは全く聴けてない)

 

・走るSEがゴム靴か何かでペタペタ走ってるみたいな音なので、走る場面でそのSEが流れ続けてると頭の中にすごい不格好な走り姿が浮かんでしまいます。

 

・メニューから何か選んだとき、システムボイスの再生が終了しないと画面が移行しないのがテンポ悪くて気になります。ボタンを押せばボイスの再生を中止して移行できますが、再生しながら移行するんでいいのでは?と思います。オフにするのも寂しいし。

 

・柑南・薙草・叉梗の3人は、どのルートでもキャラや背景はブレませんが悪役になるかどうかはルートによって違ってくるのが面白いですね。

璃空ルートでは柑南はちょっとうざいブン屋程度な感じで、薙草と叉梗はあまり存在感がなかったような気がします(忘れているだけかも)が、時貞ルートでは柑南がモロに悪役で薙草もヤな感じで叉梗はやっぱり存在感がなかったと思います。そして玄葉ルートでは叉梗と薙草が悪役、縁ルートでは叉梗が主に悪役でした。

ルートによって立ち塞がる相手が少しずつ違うため、周回しても飽きがきにくいようになってるのが上手いなーと思いました。

柑南と又梗はまだ同情の余地があると考える人もいそうですが、薙草はきっと満場一致で擁護不能ですね。

私は柑南が結構好きです。