乙女ゲームおたくの日記

主に乙女ゲームの感想を書きます。

特典CDを聴いてみたらクラキミ愛が再燃した話①

2009年にD3パブリッシャーから発売された、脱出サスペンス乙女ゲーム『暗闇の果てで君を待つ』。
もう11年も!前の作品ですが、お気に入りの乙女ゲーム十選を決めるとしたら間違いなく入れるくらい私はこの作品を愛しています。
当時買ったのは通常版だったのですが、一人暮らしを始めるにあたってハードもソフトも実家に置いてきてしまったので買い直すことに。
その際、特典付きの初回版を見つけたのでせっかくだからと初回版を買ってみました。

しばらく放置していて、今になって特典のインタビューCDとドラマCDをようやく聴いたのですが、もう、プレイした当時の思い出や熱が昨日のことのように蘇ってきて大変です。
今更にもほどがあるし自己満足とはわかっていますが、特典CDの感想と思い出語りをしようと思います。

まずはインタビューCDについて。攻略対象6人がインタビューを受け、家族構成や好きな食べ物や学校生活なんかについて話してくれるCDです。

 

葵水央(cv.高橋広樹

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そのドジっ子ぶりと純真無垢さから、ファンの間ではみおたんという愛称が定着していた葵先輩。
いかにも生真面目な生徒会長、という感じで礼儀正しく綿貫さんのインタビューに答えています。
名前の漢字を説明するとき、わざわざ「水曜日の水」って言うところがさりげなくて良い!と思いました。(みおたんは過去に溺れかけてから水が大の苦手という設定)
この部分に限らず、インタビューCDだけ聴くと至って普通の高校生たちのインタビューに聞こえるようになっているのですが、ゲームの内容を知った上で聴くと彼らの秘密に関係する台詞がちりばめられていてとても面白いです。乙女的な萌えは皆無ですが。
先にこれを聴いて、あの台詞はこういう意味だったのか!と知るルートも楽しそうでいいなあ。
他には、最後の晩餐に何を食べたいか聞かれ、焼いたサンマにかぼすを添えたものと、豆腐とネギの味噌汁が食べたいと答えます。彼としては普通の食事を挙げたつもりで、最後の晩餐だからとごちそうを食べたいとは思わないようです。
確かにいかにも豪勢な食事ではないけど、普通の食事としてそういったものを挙げられる時点である程度恵まれた環境の持ち主であることは間違いなく、でもみおたんはそのことをきっと自覚していないでしょう。
基本公正でまっとうな人だけど、恵まれて育った故の無自覚な傲慢さがあるという、作中で取り上げられる一面がこのCDでもうっすら嗅ぎ取れます。
彼は作中屈指の面白キャラでもあります。公式サイト等ではメインヒーローのように扱われていますが、作中で頼りになる場面はほぼなく、潔白なのにみんなに疑われて監禁されたり、その状況で暢気にティータイムを楽しみ出したり。
彼のルートで最も盛り上がるのは信じていた相手に裏切られて溺死させられかけ、
裸でシーツにくるまって涙を流したところを主人公に抱きしめられるシーンという。みおたんはヒロイン、などと言われていましたね。メインヒーローでこれは本当に斬新だったと思います。


桜葉克己(cv.岩田光央

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主人公の幼なじみでパン屋の息子で、明るく人懐っこい性格の桜葉くん。私の最推しです。
しかし当時から思っていましたが、今聴いてもおじさんみたいな声だなーと思います。逆にその辺の普通の男子っぽさが出ているとも言えますが。
家族のことを聞かれ、桜葉くんは7年前から姉が行方不明になっていることを話します。綿貫さんは思わず謝りますが、桜葉くんは気を悪くした様子を一切見せず、情報が入ったら知らせてほしいとだけ言います。
しかしゲームをプレイすればわかるのですが、彼は今でも姉が最後に残した留守番電話を消せずにいて、時折聞き返すほど強く姉のことを思っています。
(留守番電話の録音って保存期限あったような? というのは少し気になるけど)
どこかで無事でいてほしいと願いつつ、恐らくもう命はないだろうという予感に怯えつつ、昔も今も何もできないでいる自分を心底歯がゆく思い続けている桜葉くん。
でもそういった悲しみ、怒りの感情を自分の中だけに封じ込め、人前では脳天気に振る舞ってみせる桜葉くん。
今回の事件に遭わなかったら(姉の手がかりがつかめないままだったら)主人公にすら一生打ち明けることはなかったのかなと思うと、もう・・・もう・・・あまりにも健気で・・・愛。
廃校に閉じ込められた状況でも桜葉くんは、主人公を不安にさせまいと色々と気を遣ってくれます。自分も内心は恐怖に震える普通の男の子なのに・・・そんなところも愛。
主人公もただ支えられているだけではなく、大事な場面では遠慮する桜葉くんの手を強く握って励まし「怖い」という本音を引き出せる女の子です。
あの歯車の罠解除のシーンは本当に大好きです。作中屈指の名シーンだと思います。

 

風野太郎(cv.藤原祐規)

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色々とヤバい事情を抱えた家の子で、両親と妹を食わせるために金策を巡らす銭ゲバ高校生・風野太郎くん。
当時の2ちゃんねるなんかでは「アフィ」と呼ばれていた気がします。乙女ゲームの攻略対象がアフィブログをやっているというのは衝撃だったようです。
インタビュー冒頭では、太郎という自分のシンプル過ぎる名前が気に入らないとこぼします。
その流れで妹の名前を聞かれるのですが、風野くんは「個人情報だから」「自分のならいいけど妹のは言えない」と突っぱねます。兄の風野くんが名付け親ということで「ネーミングセンスに自信がないから言えないんだろう」と煽られますがそれでも言いません。
それまでは割とノリ軽めで、生意気ながら人懐っこそうに見えた(聞こえた)風間くんがここで初めて警戒心を露わにします。この場面から彼の賢さや他者への不信感の強さ、妹への愛情が窺えますよね。
さらに、風野くんは本来もっといい高校に受かっていたものの家庭の事情で入学金を払えず、今の高校の三次募集に滑り込んだことが聞けます。
この設定、作中で言ってましたっけ? 覚えがないのでこのCDだけの情報でしょうか。
両親の宗教や妹の病気についてはインタビューで語られませんが、彼の家庭の複雑さはこの情報だけでなんとなく察することができます。
風野くん、そんなわけで金のためならマジで手段を選ばない男です。ルートによってはみおたんやほにゃみんを恐喝するしエンドによっては逮捕されます。
今回のことがなくても既に似たようなことはやってそうだし、普通に悪人なんですが、一方で彼は弱者(と見なした相手)にはとても優しいんですよね。
宗教にハマった両親には呆れていますが、心の弱さ故に搾取される彼らをそうそう見捨てることもできないようです。何の罪のない妹に対しては一層慈悲深く、何に代えても守りたいと思っています。
廃校に閉じ込められた中で主人公は唯一の女子ですが、さぞ心細いだろうと思ってくれたのか、風野くんは最初から主人公には優しく接してくれます。誰か一人を信用するなら主人公、とも言ってくれるし。
この人数の男相手に女一人で大したことはできないだろうという侮りもあったかもしれませんが、この状況で最初から一定の信頼を置いてくれるのはやっぱり心強い。
なので私は最初、風野くんから攻略したんですよね。明かされる事情のハードさや彼の年齢に見合わないシビアな人生観に「こんな乙女ゲームもあるんだ・・・!」と衝撃を受けたものです。
悪人ながらも芯の通った風野くんは、他の乙女ゲームではなかなかお目にかかれないようなキャラでとても魅力的です。クラキミは公式人気投票はやってませんが、やってたら1位は風野くんなんじゃないかな。

 

では、長くなってきたので続きは別の記事にします!